2006 Fiscal Year Annual Research Report
ワルラス応用経済学研究-一般均衡理論の制度的枠組の思想史的解明
Project/Area Number |
16530132
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
御崎 加代子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (90242362)
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Keywords | 経済学史 / ワルラス / フランス経済思想 |
Research Abstract |
本研究は、一般均衡理論の制度的枠組としてのワルラス応用経済学の意義を、思想的なアプローチで解明するという目的をもっている。本年度は、前年度に引き続き、ハイエクの設計主義批判とその起源としてのフランスの伝統という解釈を出発点に、ワルラスの応用経済学とそれらとの関係をさらに解明することに専念した。当初の研究計画では、とくにサン=シモン主義のワルラス応用経済学への影響を明らかにすることを意図していたが、昨年度からは、考察の対象をさらにひろげ、ケネー、カナール、J.Bセー、サン=シモン、デュピュイ、クルノーを中心とした18-19世紀フランス経済学史の流れを、ワルラス応用経済学における「組織された自由競争」概念の形成過程として読み込み、同概念の独自性と意義を明らかにすることにとりくんだ。その概要については前年度に「フランス経済学史の視点-フィジオクラシィからワルラス『組織された自由競争』へ」という仏語論文にまとめ、ローザンヌやリヨンで講演やセミナーを開催したが、今年度は、この論文(和訳)を序章とする一冊の研究書にまとめあげ、『フランス経済学史-ケネーからワルラスへ』というタイトルの単行本を11月に刊行し、本研究の成果を日本語文献として発表した。 この研究書を仕上げるに当たっては、9月のリヨン第2大学とローザンヌ大学への出張において、参考文献の最後のチェックを同大学所蔵の図書によって行い、また本文の内容(特にフランスの経済学者・思想家たちにかかわるデータ)を、同大学に所属する各専門家たちの助けを借りて、再度細部にわたって検討、訂正することができた。 1月にリヨン第2大学で開かれた、J.B.セー国際会議に参加し、関連する研究者たちと本研究について議論をする機会をえた。ここでは、この3年間の研究成果の新たな方向性を探る上で、重要な示唆をうけた。
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Research Products
(1 results)