2006 Fiscal Year Annual Research Report
経済学における生物学的方法の学説史的研究:スミス・マーシャル・ヴェブレンを中心に
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16530134
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Research Institution | Kyushusangyo University |
Principal Investigator |
高 哲男 九州産業大学, 経済学研究科, 教授 (90106790)
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Keywords | 思想史 / アダム・スミス / T.B.ヴェブレン / 進化論 / 経済理論 / 社会進化論 / モノ作り本能 |
Research Abstract |
本年度は、3年間にわたる研究機関の最終年であり、当初から遂行し続けてきた研究成果の一部を論文や学会発表の形で発表することができた。その意味では、大いに成果が上がったわけである。出版物としては、『20世紀の経済学の諸潮流』(共著)橋本努編集(第一章「T.B.ヴェブレン-経済学の脱構築と進化論」執筆)日本経済評論社平18.5.25.があり、ほかに二つの学会報告すなわち、(a)アダム・スミスの本能論平18.5.27.経済学史学会第70回大会。(b) Smith's Conception of Instinct and the Biological Foundations of Economics. First ESHET-JSHET Meeting, Sophia-Antipolis. 17-19 December 2006.を行った。後者の報告に対しては、日本学術振興会平成18年度二国間交流事業フランス(CNRS)とのセミナー研究課題名:ESHET-JSHET共同セミナー「経済思想史における知識・市場・経済統治」(研究代表者栗田啓子(東京女子大学)から出張旅費の一部を支給された。 著書における新しい主張の要点は、古典派経済学いらい一般的に当然のこととして前提されている労働-賃金、資本-利潤、土地-地代といういわゆる要素所得のシェーマでは、経済発展が十分説明できないということ、言い換えると、「企業者所得」や「経営者所得」を「特別な賃金」に含めるほかになくなり、「技術要因」に対する所得を「要素所得」に含める必要がある、新しい主張であったことのを解明にある。またスミスにおける「生物学的方法」については、「外部感覚論」を丹念に掘り下げ、『道徳感情の理論』と『諸国民の富』の様々な版における「本能」の概念と人間性の理解をめぐって文献的証拠に基づいて実証的に検討を加え、従来の通説である「物理化学的方法」を越えたものを想定しないと、十分な理解が得られないことを論証した。この論文は、さらに改良を加え、海外の専門雑誌に投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)