2006 Fiscal Year Annual Research Report
国際労働移動が産業間国内労働移動と世代別失業に与える影響の理論的分析
Project/Area Number |
16530156
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
薮内 繁己 名古屋市立大学, 経済学研究科, 教授 (40264741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多和田 眞 名古屋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10137028)
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Keywords | 国際的要素移動 / 国内労働移動 / 失業 / 労働移動の不完全性 / 熟練・非熟練労働 / ハリス・トダロモデル / 賃金格差 / 環境汚染 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、国際的労働移動が国内の労働市場に及ぼす効果について様々な角度から分析を行った。本年は特に、熟練労働と非熟練労働が同時に存在する経済に注目し、若年の非熟練労働者が職業選択の過程で高望みをすることによる失業と、中高年の高賃金による伝統的なタイプの失業が同時に存在する状況に注目し、その解決策について検討した。その成果は、論文"Someday My Prince Will Come"としてまとめられ、Asia-Pacific Journal of Accounting & Economicsに掲載された。さらに、パートタイム労働者やフリーターのような「偽装失業者」の存在も考慮し、国際労働移動がこれらの失業にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。その結果は、シドニーで開かれたM.C.ケンプ教授記念国際学会(2006年8月)とウィーンで開かれた第8回ETSG学会(2006年9月)において報告された。 一方、途上国における労働移動のモデルとして知られているハリス=トダロー・モデルに環境変数を組み込んだ場合において、環境汚染削減技術の向上が途上国経済にどのような影響を与えるかについて分析をした。均衡への調整過程の分析において、環境が時間とともに調整される場合の均衡の安定条件は、従来の環境変数のない場合のモデルにおいて要素の部門間移動が時間とともに調整される場合の安定条件とは逆になるこが明らかとなった。また、環境汚染削減技術の改善は都市の失業を増加させて、経済厚生を低下させる可能性があることを明らかにした。その成果は、クアラルンプールで開かれた第9回PRSCO Summer Institute(2006年7月)において報告され、「環境問題におけるハリス=トダロー・パラドクッス」『経済学論究』(関西学院大学)第60巻第3号、2006年に掲載予定である。
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Research Products
(4 results)