2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530158
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
井本 正人 高知女子大学, 生活科学部, 教授 (20167274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 靖範 立命館大学, 経営学部, 教授 (10124083)
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Keywords | 過疎地域 / 公的移動手段 / ナショナルミニマム / 移動保障 |
Research Abstract |
研究目的:研究全体の目的は、過疎地域住民の様々な移動ニーズに対して公的移動手段が提供しているナショナルミニマム水準を明らかにし、地域の特徴を踏まえながら公的移動手段の効率的運行パターンを開発するすること、及び移動保障のミニマム水準を明らかにすることであった。16年度実施した高知県下の移動保障の実態調査を踏まえ、17年度は基礎資料の収集、及びスウェーデンの農山村地域を取り上げながら移動保障の実態や保障にっいての考え方の国際的比較検討を行う。 調査研究の概要:スウェーデンの農村地域にあるOckelbo(オッケルボー)及び北部地方のKalix(カリックス)にあるVitvattnet(ビットバットネット)で聞き取り調査を実施。市長や公共交通の担当者より主に高齢者を対象とした移動保障についての施策、実態について聞き取りを行う。また、ウィーン(オーストリア)での国際学会(11th Conference of the European Association for Japanese Studies)にて報告(Title : A Study of Assurance of the Right to Transport (Droit au Transport) in Depopulated Areas)を行い、移動のナショナルミニマムについての意見交換を行う。 調査研究結果の概要:スウェーデンでは、さなざまな公的移動手段に関して、我が国のような縦割り行政に基づく規制はほとんどなく、自治体の裁量に委ねられている。スクールバス、高齢者への補助金によって拡充されたバス路線、及び地方鉄道の組み合わせによって全住民に高い移動水準を保障することもOckelboで実現されている。住民の地域管理への参加は移動の問題にも及び、住民協力による移動の相互保障は、人口密度の低い地方においてもより効率的な運行が可能であることを示している。そこでは、移動のナショナルミニマムというより、すでに自治体における住民合意にもとづく地域的なミニマムとしての移動保障の問題と捉えられており、その効率性をどのように実現していくかが主要課題になっている。
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