2005 Fiscal Year Annual Research Report
国境を超えて連携する市民社会組織の役割と影響力に関する実証分析
Project/Area Number |
16530160
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
菅原 秀幸 杏林大学, 総合政策学部, 助教授 (30255418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 誠久 杏林大学, 保健学部, 助教授 (80152726)
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Keywords | 民間非営利セクター / 市民社会 / 市民社会組織 / 定量的分析 |
Research Abstract |
民間非営利セクターの著しい台頭に関心が寄せられ、政府、市場に次ぐ第3のセクターとして注目を集めている。これにともない、市民社会を対象とした研究も数多く行なわれるようになっている。とはいえ、それらの多くは、事例の分析、概念的な検討、定性的な議論を中心としたものであり、市民社会の影響を定量的に分析したものは、皆無に等しい。 そこで本研究では、市民社会が企業に及ぼす影響を定量的に分析しようと試みた。日本、北米、欧州、アジア企業合計8470社を対象に、インターネットを活用してアンケート調査を依頼し、環境に関連する23の項目について質問した。そこで得られた350社からの回答(回答率4.1%)を使って、因子分析と重回帰分析によって、市民社会は企業によってどのように評価されているかについて定量的に分析した。 さらにこの解析結果をもとに、企業の「市民社会に対する積極性インデックス」と「市民社会との協同可能性インデックス」を作成して、日本、北米、欧州の比較を行った。 以上の分析結果から、企業が自社の環境対策力に自身をもっている場合には、企業は市民社会と積極的にかかわり協同して環境対策を進めていくが、環境対策力が劣っていると考えている企業の場合には、ほとんど市民社会とのかかわりをもたないことが明らかとなった。つまり、企業は確かに市民社会の台頭を意識してはいるが、市民社会とのかかわり方は、企業サイドの要因によって決まり、市民社会のもつ影響によっては決定していないということがいえる。 また今回の解析結果をもとに作成した2つのインデックスによる比較からは、欧州企業は日本企業と比べて、市民社会と積極的にかかわって、協同して環境問題の解決に携わってきたということが分かった。
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