2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530161
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大沼 あゆみ 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60203874)
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Keywords | 面源汚染 / 環境税 / 次善 / 水質汚染 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き面源からの水質汚染に焦点を当て研究を行った。面源からの汚染は、汚染量や排出者とも特定しにくく、政策的に制御することが容易ではない。とりわけ、農薬使用による汚染などは、農薬使用量だけではなく、さまざまな他の要因、とりわけ農家の農薬使用上の注意水準にも依存する。このため、農薬汚染の制御はより多くの問題を含むことになる。「注意」を最適水準に誘導することはとりわけ困難であるからである。本研究では、注意水準はモニター不可能という前提の下で、次善の農薬税を求めた。昨年の結果にさらにいくつかの結論を付け加えることが出来た。主要な結論は、以下のとおりである。 1.次善の農薬税は、農薬の限界被害だけではなく、次の三つにも依存する。一つは、被害の無差別曲線上での農薬と注意の弾力性の大きさ、二つ目は、生産者の利潤最大化における注意水準の農薬使用に対する変化率、三つ目は農薬使用による汚染の限界流出である。 2.一般には、生産関数、被害関数の形によって、次善の税率は、最適税率より高くなることも低くなることもある。また、税率が負、したがって補助金を与えることが次善である可能性も出てくる。研究では、どのような条件の下で、これらが明確に言えるかを確認した。とりわけ、これらの関数を特定化することで、最適税率と次善税率の比較を明示的に行った。 3.次善の農薬税による環境被害が、ある条件の下ではレッセフェールのそれよりも必ず小さくなる。 この研究は、"Non-point Source Pollution and the Second Best Taxation on Pesticide"のタイトルでEast Asia Symposium on Environmental and Natural Resource Economics, Century Golden Resources Hotel, Beijing, China, November 29-29, 2005. (co-authored with Hideyuki Akaishi)で報告を行った。
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