2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530168
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
高木 一郎 九州東海大学, 応用情報学部, 教授 (90226746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 稔 大阪府立大学, 大学院工学研究科, 教授 (70207215)
松田 晴英 東海大学, 教育研究所, 助教授 (00333237)
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Keywords | 複雑系数理経済 / 国際経済数理モデル / 労働力の国際移動 / 自己組織化現象 / 新古典派経済成長モデル / マスター方程式 / フォッカー・プランク方程式 / 非線形偏微分積分方程式 |
Research Abstract |
複雑系経済学、進化経済学、経済物理学と呼ばれる複雑系科学に属する数理社会科学の分野では、社会経済現象の解析に統計力学の手法を適用することにより、数多くの数理モデルが構築されています。しかしながら、統計力学の数学的基礎理論に匹敵するような数学的基礎は、新しく生まれた複雑系科学には、未だほとんど存在していません。そこで、数理経済モデルを関数解析学的方法を用いて解析しました。EUの市場統合のように人口移動と経済成長が相互に機能して起こる大規模な自己組織化現象を表現する数理モデルを研究しました。統計力学では、物理学において許容される程度の厳密さで、クライマー・モイヤル展開を用いることにより、マスター方程式からフォッカー・プランク方程式を導き出すことができました。しかし、クラマース・モイヤル展開の収束の数学的に厳密な証明や高次項の展開が極めて困難で、ほとんど有意な結果が得られませんでした。そこで、"A geometrical similarity between Migration of human population and diffusion of biological particles"(Nonlinear Analysis : Real World Applications, Elsevier Science)においては、人口移動理論に現れるマスター方程式の解を高木と共同研究者の工夫による有限クラマース・モイヤル展開することにより、人口移動に必要なコストが十分に大きい場合に、フォッカー・プランク方程式の解と非常に近いことを証明した。この論文によって、人口移動理論における2つの重要な理論であるWeidlich-Haagの人口移動理論とHotellingの人口移動理論の整合性を数学的に厳密に証明することができました。
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Research Products
(1 results)