2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530169
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大森 義明 Yokohama National University, 経済学部, 教授 (10272890)
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Keywords | 家族の経済学 / 逐次選択モデル / ダイナミックサンプルセレクション / 結婚 / 同棲 / 独身 |
Research Abstract |
1.(a)未婚の成人による独身、同棲、結婚に関する各年の意思決定;(b)同棲中のカップルによる回棲の継続、別離、結婚に関する各年の意思決定;(c)結婚しているカップルの離婚に関する各年の意思決定の逐次性を考慮した逐次選択モデルのパラメター推定値と分散共分散行列推定値を用い、長期安定的な狭義の家族形成(「25歳までに法的に結婚し、9年間以上継続」と定義)と長期安定的な広義の家族形成(「25歳までに法的結婚または同棲し、9年間以上継続と定義」)を経験する(累積)確率の予測値と標準誤差を計算した。この計算は、推定した各スペックの各説明変数の値を変化させながら行った。 2.その結果,(1)「結婚税」(法的結婚下の所得税と同棲の場合の所得税の差)の効果は小さく、統計的に優位でないこと、(2).AFDC/TANF給付とMedicaid給付は長期安定的な(狭義、広義の)家族形成に対し大きな負の効果を持つこと、(3)(過失の立証なしに離婚を可能とする)no fault条項なしの離婚法は長期安定的な(狭義、広義の)家族形成に対し大きな正の効果を持つことなどが明らかになった。例えば,(a)AFDC/TANF給付の増額(サンプル平均値から90パーセンタイル値への増額)は白人女性の長期安定的な狭義の家族形成の確率を14.9%低下させ,長期安定的な広義の家族形成の確率を8.3%低下させることが明らかになった。また、(b)AFDC/TANF給付の増額により長期安定的な広義の家族形成の確率は長期安定的な狭義の家族形成確率を18.2%ポイントト上回るため(AFDC/TANF給付の増大なしでは9.6%ポイント上回るのみ),福祉の寛大な給付は長期安定的な(狭義、広義の)家族形成をする女性の間で結婚から同棲への代替を引き起こすことが明らかになった。更に、(4)宗教、子供の頃の家族構成,子供の有無といつた、政策では変更が困難な属性の効果が大きいことや、(5)これらの属性の効果を相殺するような政策は極端なものにならざるを得ないことも明らかになった。
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