2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国の上場企業におけるマネジメント・バイアウト(MBO)に関する研究
Project/Area Number |
16530170
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
黄 孝春 弘前大学, 人文学部, 助教授 (10234684)
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Keywords | 経営者支配 / 国有企業改革 / マネジメント・バイアウト / 非流通株 / 国有株 |
Research Abstract |
中国の国有企業改革は20年以上経過しているが、いまはジレンマに直面している。具体的には国家所有をあくまでも維持したままで経営権を経営者に委譲するのか、それとも国家所有に固執しないで民営化を推進するのか、である。民営化の場合、いろいろな方法があるが、いわゆるマネジメント・バイアウト(経営者による企業買収)も選択肢の一つとされる。この研究は国有企業を前身とする中国の上場企業におけるマネジメント・バイアウトを研究対象としている。 問題は中国株式市場の非流通株がマネジメント・バイアウトのネックとなっている。すなわち、発行株式総数の大半を占める国有株が上場流通できず、経営者は取引所を通じて株式の購入による企業買収を行うことができないのである。結局、経営者は国有株の所有者と取引所外で相対取引の形で株式の譲渡を行うのが多いといわれる。本年度は中国の上場企業におけるマネジメント・バイアウトに影響を及ぼす非流通株の形成について中国経済学会の学術研究会で口頭発表のうえ、『アジア経済』にその成果を公表した。 一方、マネジメント・バイアウトは中国ではまだ政治的に敏感な課題である。2004年夏以降、マネジメント・バイアウトと国有資産の流失をめぐって主要な経済学者を巻き込んだ論争が行われた。本年度は論争双方の論点や、マネジメント・バイアウトの政策形成に与えたこの論争の影響などを調べた。論争当初は経営者による買収を基本的に制限する意向であったが、2005年末から、それは一転して条件付で認める方向へ舵を切った。 実際、上場企業の中にさまざまな形で経営者による買収が進行している。経済週刊誌などの関連記事を通してMBOが実行されたと思われる上場企業リストをピックアップして20数社の年報(有価証券報告書に相当)を調べ、そのNBOの実態をデータベース化した。なお不明なところについて現地調査で確認を取り、資料の正確性を補った。
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Research Products
(1 results)