2004 Fiscal Year Annual Research Report
下請取引分析におけるホールドアップ問題の検証と公取委の法運用成果
Project/Area Number |
16530187
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
増田 辰良 北星学園大学, 経済学部, 教授 (70190361)
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Keywords | 下請法 / ホールドアップ / 不不完備契約 |
Research Abstract |
今年度は、1985年から2000年までを分析対象期間として、下請取引に関わる次の2点についての作業をおこなった。(1)最初に不完備契約に関するデータの収集と対象業種を特定化する作業をおこなった。不完備契約の内容については、親事業者が下請事業者に物品の製造または修理を委託する場合、親事業者に対し下請業者への発注書面の交付(下請法3条)ならびに下請取引に関する書類の作成およびその保存(下請法5条)を義務付けている。この3条と5条の規定に違反することは手続規定違反と呼ばれ、本研究が数量化したい不完備契約の内容である。この時系列データを公取委『年次報告』を用いて数量化し、不完備契約違反を犯している業種を特定化する作業をおこなった。 (2)特定の取引関係を結ぶために必要となる投資は関係特殊投資と呼ばれている。この投資によって自発的な意思決定が取引相手に束縛されることをロックイン状況にあるという。関係特殊投資の形態を数量化することは多くの困難をともなうので、ロックイン状況を数量化する作業をおこなった。ロックイン指標として、下請企業の親企業への依存度指標を算出した。具体的には、依存度として、取引親企業数、下請金額と総販売額に占める下請金額の割合を用いた。また、ロックイン状況の発生する業種を「親企業数が比較的少なくて、総販売額に占める下請金額の割合が比較的高い業種と定義して特定化した。さらに、こうした時系列データを『工業実態基本調査報告書』を用いて数量化し、ロックイン状況の発生する業種を特定化した。
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