2005 Fiscal Year Annual Research Report
下請取引分析におけるホールドアップ問題の検証と公取委の法運用成果
Project/Area Number |
16530187
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
増田 辰良 北星学園大学, 経済学部, 教授 (70190361)
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Keywords | 下請法 / ロックイン / ホールドアップ / 支払い条件 |
Research Abstract |
今年度は以下の変数を作成した。変数の作成において利用した時系列データは中小企業庁『企業間関係実態調査』(各年度版)と公取委『年次報告』である。 下請法違反を犯す業種を特定化することは、過去の統計データをみることによって比較的容易にできる。しかし、親企業とどの程度の下請関係があるときに違反が発生するのかを分析した研究はほとんど存在しない。そこで、今年度は、ロックイン指標とホールドアップ問題の一つである「支払い条件」との間にある関係を単相関分析し、「支払い条件」を被説明変数とするOLS分析を試みるための変数作りをした。ロックイン指標は、「親企業(1社;1位の企業)への下請金額の依存度」「総販売額に占める下請金額」と「親企業数」の3変数を作った。 下請取引に係る問題は、特定の業種に偏在する傾向があるので、「親企業への下請金額の依存度」と「総販売額に占める下請金額」については、業種別に30%未満、30〜70%、70〜100%、100%以上に区分した。「親企業数」についても、業種別に1社、2〜5社、6〜9社、10社以上に区分した。 支払い条件は、業種別の「平均支払期間」「現金支払割合」と「手形期間が120日超の手形交付の割合」という変数を作った。 ロックイン指標を細分化し、支払い条件を業種別に区分することによって、親企業への依存度がホールドアップ問題を発生させるときの業種別限界依存度が測定できる。これを測定することによって、下請法違反事件を犯す業種や状況が特定化できることになる。そうすれば、法違反事件を事前に抑止する政策を発動することができる。こうした政策の可能性については次年度の計量分析とともに考察する。
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