2005 Fiscal Year Annual Research Report
確定拠出年金が企業財務・家計の貯蓄行動・金融市場に及ぼす影響
Project/Area Number |
16530202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鴨池 治 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60004199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金崎 芳輔 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30204572)
秋田 次郎 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10302069)
吉田 浩 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60275823)
北川 章臣 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60262127)
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Keywords | 401(k) / 確定拠出年金 / 確定給付年金 / 貯蓄優遇(奨励)税制 / 企業財務 / 規模間格差 / 二重労働市場 |
Research Abstract |
本年度の研究では、どのような企業が確定拠出年金を導入したか、および、同制度の特徴の1つである貯蓄優遇税制がどの程度貯蓄を促進するかを重点的に検討した。 まず、第1の点であるが、確定拠出年金の企業型年金規約数は平成13年10月の制度発足以来、平均すると年に400件のペースで増加し続けており、平成17年12月末には1,657件にまで増えている。導入している企業は中小企業および新興企業が多く、同制度を先行して導入した米国と同様の傾向を示している。従来、この傾向に対しては、従業員の熟練を必要とする大企業では彼らの長期勤続を促しやすい確定給付年金が維持されるのに対し、従業員の入退職が頻繁な中小企業・新興企業ではポータビリティに優れた確定拠出年金が導入されると説明されてきた。ところが、最近になって、トヨタ、日立、日興コーディアルグループ、大和証券グループ、野村證券など歴史ある大企業が確定拠出年金を導入する例が増えており、上記の説明に対する興味深い反例となっている。従業員の長期勤続を望むはずの大企業が、そうした目的と必ずしも整合的でない確定拠出年金の導入になぜ踏み切ったのかを理論面から検討した。また、企業財務面では確定拠出年金の導入が企業価値を高めるかどうかの検証が大きな課題であり、そのためのデータ収集を行った。 次に、第2の点であるが、ノルウェーのデータを用いて貯蓄奨励税制が家計の金融資産残高に及ぼす影響を定量的に確認した(日本についての同様の研究は昨年度に実施済み)。具体的には、税制改革による貯蓄額の所得控除限度額の増加は有意に家計の金融資産額を増加させる効果を持ち、しかも、所得が高いほど、また年齢が若いほど、その効果が強まることを見出した。
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Research Products
(2 results)