2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530217
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
堀内 昭義 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00018029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隋 清遠 横浜市立大学, 商学部, 教授 (80244408)
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Keywords | 銀行貸出 / 機関銀行 / レント / 銀行の健全性 / 金融自由化 / 金融行政 / 銀行破綻 |
Research Abstract |
本年度は日本の金融システムの構造問題、とくに銀行システムの不安定性について歴史的変化と現状の両面を実証的に分析する準備を進めた。現在の成果は主に二つである。 ひとつは20世紀初頭の日本における工業化の進展と銀行部門の役割に関する考察である。20世紀初頭の20年間は銀行経営が絶えず不安定な状況にあったが、それにもかかわらず工業化が進んだ。銀行経営が不安定だった理由としては、通説では銀行の経営規模が非常に小さく、特定の借り手企業と密着した、いわゆる「機関銀行」モデルを採用していたことが指摘されてきた。しかし銀行の参入・退出や預金収集活動のデータに基づく分析を踏まえたわれわれの研究は、工業化の初期段階で、銀行が「機関銀行」モデルを採用することは、一定の合理性があること、また銀行の経営規模を拡大させようとした政府の政策(1930年代の合併促進策)は一時的に銀行の融資機能を低下させ、地域経済に深刻な打撃を与えた可能性があることを指摘している。 第二の研究は、1980年代に進められた金融自由化政策が、銀行経営に及ぼした影響を分析するものである。一部の研究者は80年代の金融自由化が、銀行経営に圧力を加え、その結果、銀行は無謀とも思えるリスク選択に走ったという仮説を提唱している(たとえばAoki(1994)、Hellmann et al.(2000))。われわれは、日本の金融自由化が結果として銀行の過剰な融資供給とバブルの原因になったのかを計量分析に基づいて考察している。今後もより詳細な分析を積重ねる必要があるが、われわれの暫定的な結果は、金融自由化がバブルの原因になったという仮説を否定している。 次年度も引き続き、企業財務データを用いて、これらの実証研究を深めていく計画である。
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Research Products
(4 results)