2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530243
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡田 依里 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 教授 (70203982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 政光 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 教授 (80163575)
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Keywords | 知財戦略経営 / イノベーション / 新規事業創造 / 価値創造 / 複雑系 / ゴミ箱モデル |
Research Abstract |
本研究は、イノベーションを継続して生みだす仕組についての経営を、知財戦略経営、と定義し、新規事業創造を検討することを目的とする。イノベーションを、その過程でみたとき、あたかもゴミ箱に、課題や解決や参加者が投げ込まれたものが、あるタイミングで出会う、としてモデル化したものが、ゴミ箱モデルであり、このモデルを前提としたとき、課題と解決とは必ずしも一意的・線形的に対応するとは限らない。そうした状況で戦略的方向性を示すのが、知財戦略経営である。本研究は、事業・研究開発の課題設定、研究開発のフェーズごとに知的財産部が自社技術の強み・弱みを検討し、戦略的方向性を示すこと、各部局が意識をぶつかり合わせ、組織的に学習することを知財戦略経営のモデルとし、この枠組みで企業の新規事業創造を検討した。その結果、旭化成、富士ゼロックス、日東電工等ヒアリングを行った企業が、既存の技術・知財の蓄積を、まったく異質な技術や知識と融合させ、新事業創造を行っていることを確認した。とくに旭化成では、薄膜技術の強みとアルゴリズムの基礎的研究を融合させ、既存顧客のいないエレクトロニクス分野への進出、現在ではその仕様が事実上の世界標準となっている。こうした企業の成功要因を抽出、工学系研究室の助けを借りて複雑系を前提とした人工知能の手法により、優良企業と普通企業の違いを検証した。その結果、優良企業・普通企業を問わず、研究開発や知的財産の累積が他の知的資産と結びついて企業価値を形成していること、優良企業と普通企業を分けるのは、外部資源の活用も含めた「スピード」であること、さらに先端技術分野では、優良企業の方が組織内でより多様なネットワークを形成して企業価値に結びついていることが見出された。
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Research Products
(6 results)