2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本製造業の製品開発競争力を高める企業間ネットワーク構造とプロセスの研究
Project/Area Number |
16530249
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
延岡 健太郎 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (90263409)
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Keywords | コモディティ化 / デジタル家電 / 製品アーキテクチャ / 中間財の市場化 |
Research Abstract |
研究計画に準じて研究活動を進め、以下の実績があった。 1.定性的調査研究 主に家電・情報産業における企業インタビューを行い、デバイス企業とセット企業の間にある企業間ネットワークの問題点について、概念的な枠組みを作ることができた。中間財としてのデバイスが市場化し、中国企業も含め、どの企業でもが調達可能になっているため、イノベーターが価値獲得することが極めて困難になっている。それを助長するのが、擦り合わせの市場化である。デバイスを販売するためには、それを使っていかに製品開発・製造ができるのかについて、そのソリューションも同時に提供する必要がある。それによって、日本企業の競争力の源泉である、擦り合わせ能力についても、海外企業へ流出するネットワークとなっていることがわかった。これがコモディティ化(価格低下)につながっている。結果的に、優れた商品を開発・導入しても、価値獲得(利益獲得)ができない状況になっていることがわかった。 2.定量的調査 2つの定量的調査を実施した。一つは、日本のデジタル家電企業10社(松下、ソニー、シャープなど)に対して、6種類の部品(パソコン、デジカメ、液晶テレビ、PDPテレビ、DVDプレイヤー、DVDレコーダー)に関する部品調達のデータを質問票および聞き取り調査によって得ることができた。二つには、国内の価格データである。同様に上記の6種類の商品に関して、1999年以降の6年間における国内量販店のPOSデータを使って、価格変化のデータを収集した。定性的調査によって構築された、コモディティ化と企業間ネットワークの関係について分析を進めることができた。
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