2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業と台湾企業における中国進出地域選択戦略の比較分析
Project/Area Number |
16530270
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
張 喬森 日本大学, 商学部, 講師 (10318181)
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Keywords | 対中進出 / 地域選択 / 海外投資 / 立地戦略 / 投資環境 / 日系企業 |
Research Abstract |
3年研究計画の初年度である平成16年度においては、「日本企業と台湾企業における中国進出地域選択戦略の比較分析」の研究分析の初歩結果は、日本国際経済学会の2004年度の全国大会(慶応大学)にて「日本の対中投資 -中国市場の投資環境を中心に」を発表した。 日本の対中投資と地域投資環境要因との相関関係の解明を目指し、本研究を進めてきた。本論文は、まず業種別、設立時期別および地域別の見方から、どのような日本企業が、いつ、中国内のどの地域に、進出しているかという問いを解明した。さらに、比較研究においても利用できるような一般化モデルの構築を行い、多変量統計解析を通してモデルを推定し、下記の事実を新たに発見した。 本研究が推定しようとした一般化モデルに基づき多変量分析を行い、日本の対中投資と地域投資環境との相関の特徴を明確化した。モデル全体は有意である(F値が29.624)。そして、モデルの自由度調整済み決定係数(R^2)は、0.343であり、妥当な説明力を持つと考えられる。地域投資環境の5つの条件は、投資条件を除き、すべて有意である(p値、0.000、もしくは0.001)。経済条件、基礎条件及び政策条件は地域進出にプラスの影響力を持ち、その中、経済条件が最も強い影響力を持ち、政策条件の影響力が相対的に弱いがともにプラスの影響力を与えることを示唆した。就労条件が進出地域選択に負の影響を与えることを示した。 先行研究(張、2003)と比べ、分析モデルの改善が進み、新たに政府の政策変数をモデルに加え、基礎条件および経済条件の指標をも再構成した。一方、推定したモデルの投資条件が有意ではないことを再検討し、将来の研究へとつなげる可能性がある。本論文は、省・市レベルのデータを用いたが、これからの研究は都市レベルで分析を行うことが期待される。また、産業別の詳細な考察への研究発展も1つ重要な方向と考えられる。これは、次年度の重要研究課題である。 応用面では、研究結果を通して、現実の中国進出企業、特に日本企業にとって、進出地域選択を最適化し、ふさわしい地域投資環境を選定する際の参考になると考えられる。さらには、中国の政策策定者が投資環境を整備する際の参考にもなると思える。
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