2004 Fiscal Year Annual Research Report
銀行業の経営組織研究-邦銀経営失敗の要因と経営再生の為の戦略と組織-
Project/Area Number |
16530275
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
久原 正治 立命館アジア太平洋大学, 経営管理研究科, 教授 (00319485)
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Keywords | 経営戦略 / 経営組織 / 銀行業 / 銀行の経営破たん / 銀行経営者 / 経営の失敗 |
Research Abstract |
本件は18年まで3年続く研究の初年度である。本研究の目的は邦銀の経営行動を、環境変化に対応した経営戦略と組織の観点から実証的に研究し、今後の邦銀経営再生の条件を求めようとするものである。初年度として、研究の方法論を確立し、実際に当時経営に当たった経営者のアンケートとインタビュー調査により、分析に必要なデータを集める作業を行った。 1.研究の方法論 すでに確立した分析方法を銀行業に応用する留意点を2004年5月の証券経済年報及び2004年9月の日本経営学会大会発表にまとめた。 2.経営者のアンケートとインタビュー調査 トップ経営者に回答を求める「経営戦略調査」と中堅管理者に回答を求める「経営行動調査」の二つのアンケート文案を米国での先行研究を参考にしながら作成した。 「経営戦略調査」については1990年当時の主要邦銀8行の代表取締役以上を対象に選び、その現住所を集め、70名にアンケート用紙を郵送した。そのうち15名から回答を得、内5名からはインタビュー調査の同意を得た。「経営行動調査」については、旧第一勧銀と旧長銀の中堅管理職計約80名に回答を求め、17名の回答を得た。この種の邦銀を対象とした学術アンケート調査は初めてのものであり、80年代の代表取締役が物故する前にこれだけのデータを集めることができた意義は大きい。インタビューの同意を得た5名中東京在住の4名につき、3月にインタビュー調査を設定した。頭取経験者1名、副頭取経験者3名であり、貴重なヒアリング結果が得られた。 このアンケートとインタビューの結果について来年度早々に取りまとめ、学会等で発表予定である。大きな環境変化に対応した銀行ごとの明らかな戦略行動と組織対応の差異を認めることができる。この分野でのデータに依拠した実証研究が皆無であるだけに、この調査を通じた知見は今後の銀行経営研究の分野の発展に大きく寄与できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)