2004 Fiscal Year Annual Research Report
新興経済圏(エマージングエコノミー)の会計システム選択についての研究
Project/Area Number |
16530295
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小津 稚加子 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (30214167)
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Keywords | 会計基準設計 / 国際会計基準 / 会計基準の統合 / 会計制度の受容 |
Research Abstract |
先進国中心で国際会計基準の統一化が進行する影で、取り残されてしまった新興経済圏の会計システム選択を取り上げ、理論と実態を明らかにするのが本研究の目的である。英米仏が新興経済圏に対してとってきた戦略およびその基底に存在する企業会計の考え方を理論的に整理する。経済的にも、政治的にも強大で、国際会計基準審議会(IASB)リエゾン国でもあるこれら主要3ヶ国が影響を与えた諸国・地域を対象とする。 本年度は、先行研究のレヴューを行った。具体的には、英米の研究者たちが「歴史的な関係」や「制度比較」など切り口を変えながら「会計制度の受容と伝播」という共通の課題に取り組んだことを確認し、例として、会計基準設計に独自路線を貫いたフランスおよび欧州の国際会計基準の受容を研究した。国際的な資金調達を望む巨大企業のために、フランスは、「国際的な」会計基準の適用を容認する商事会社法規定と選択的適用処理を用意し、企業が実質的に国際会計基準に準拠可能な仕組みを制度上作った。積年のうちに形成された国内の会計目的、特に税務の要請と、国際的な対応を同時に達成しようとする措置である。(研究成果は、拙稿「会計基準設計の系譜-テストケースとしてのフランスの考察」『JICPAジャーナル』第16巻第11号、pp.42-47に掲載された。) また、リエゾン国と新興経済圏の会計制度移転ならびに制度受容の例として、ベトナムを検討対象として研究を開始したが、本年度は論文として完成の域に達しなかった。
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