2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530302
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
千葉 貴律 明治大学, 経営学部, 助教授 (30309637)
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Keywords | 環境会計 / エコ・ガバナンス / 企業の社会的責任(CSR) / 持続可能性(sustainability) / 環境マネジメント |
Research Abstract |
2005年度においては、2004年度に着手した調査研究の継続と発展を目標として研究活動を行った。具体的には、2004年度において収集・分析を始めた主要企業約180社の2004年度版環境報告書(サスティナビリティ・レポート、CSRレポート等を含む)の内容検討を2005年度版においても継続して調査を行った。本年度においてもっとも顕著な傾向として指摘される点は、従来の社会・環境報告書(sustainability reports)から、「CSRレポート」への転換が急速に進んだことが指摘される。この変化は、本研究の当初に予想したものよりも早く、かつ広範に認められた。この点に関する自己の見解については、拙稿「環境マネジメントの独自性と環境会計」(『中央大学経済研究所年報』第36号、2005年10月)で指摘した。 また、エコ・ガバナンスの形成に関するリサーチ対象として、環境問題が非常に大きな経営課題となっている中国に進出した日系企業の現地調査ならびにヒヤリングを行うことができた。 詳細については現在準備中の論文にまとめるが、中国の経済社会システムに起因すると思われる課題として、物流並びにその他の社会的インフラストラクチャーの未整備の問題や、就業機会の情勢などが認識された。他方、調査対象企業に内在する問題としては、労働者の教育・育成に関する問題が最重要課題であるが、生産プロセス全体を見ると実際のコスト発生場所は想定外のところにあり、新たな改善機会を見出すことができた。と同時に、今後の同社の発展のための方向性として、経営全体を統合する新たなビジョンが必要であると思われ、環境配慮(エコ・ガバナンス)や品質管理を含めた「経営理念(mission)」を再構築することで新たな経営戦略を提案できるのではないかと考えられた。今後とも研究調査を継続していくつもりである。
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Research Products
(3 results)