2005 Fiscal Year Annual Research Report
企業会計制度における会計上の裁量の意義に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
16530304
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
奥村 雅史 早稲田大学, 商学学術院, 助教授 (30247241)
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Keywords | 財務会計 / 会計監査 |
Research Abstract |
退職給付会計における裁量的な割引率の選択に関して、実証的な証拠を提示する論文「退職給付債務に関する裁量的情報開示-割引率の選択と株価の関係-」を完成し、公表した。そこでは、経営者における裁量的な選択を証拠付ける事実が得られ、また、これに対する市場における株価反応も検出された。具体的には、(1)未積立退職給付債務の水準、レバレッジ、収益性、企業規模が割引率の選択に影響していること、(2)割引率の裁量的選択による裁量的退職給付債務は株価に関連していること、(3)未積立退職給付債務やレバレッジの水準が高いサンプルにおいては、その他のサンプルと比較して、裁量的退職給付債務が株価水準を大きく引き下げることが確認された。 また、前年度における裁量的会計行動に関する諸概念と実証的な研究に関するサーベイに続き、本年度は、経営者による裁量的会計行動に関する経済的メカニズムを分析する理論モデルに関する整理を行い、現在、論文としてまとめている。おもに、分析的なモデルにおける経済的メカニズムを整理している。 データベース作成については、前年度と同様の方針によっている。具体的には、連結財務諸表中心のディスクロージャー制度に移行した後の現行の会計制度における会計上の裁量を詳細に分析するために2000年以降についてデータベースを作成している。本年度は、前年度に引き続く作業のほか、特に、ストックオプションに関する情報をデータベースとしてまとめている。また、日本経済新聞社作成のファイナンスに関するデータベースを一部購入しており、これと合わせて分析上有用なデータベースの作成を進めてきた。
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Research Products
(1 results)