2004 Fiscal Year Annual Research Report
企業の国際人事戦略と従業員のストレスの関する健康社会学的研究
Project/Area Number |
16530316
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
江川 緑 東京工業大学, 留学生センター, 助教授 (40251615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 喜比古 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10174666)
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Keywords | 多様性 / ストレス / グローバル化 / 国際人事 |
Research Abstract |
グローバル化による積極的取り組みとしての海外派遣等による職場環境変化と、M&Aから生じた職場環境変化の状況・取り組みは文化的視点からかなり近似しており、企業側は経営面でのパフォーマンス、新技術の創出などが優先課題となり、そこで働く個人としての従業員が、多様な価値観など文化の摩擦から経験するストレスへの視点や、多文化職場をポジティブに活用し多様な価値の共生からシナジーを創出するという視点が意識されない、もしくは意識されても現実の取り組みには至らない状況が浮かび上がった。また、摩擦事例の聴き取りから、仕事の進め方が違い摩擦を生じているとの認識はもたれていても、それが文化の違いによるものという認識は非常に希薄であるケースが少なからず見受けられた。こうしたことは企業が海外勤務者を対象に派遣前に実施する異文化研修が一概に効果的ではないことをうかがわせた。実際、派遣前研修はアウトソーシングされていることが多く、結果として非常に一般的な異文化理解・適応に関するオリエンテーションとなり、職場での応用に結びつけることが困難であるためと解された。勤務する企業の組織文化・組織行動の実際に結びつく研修や、自ら直面する問題を的確に認識できるようにする研修の必要性がうかがわれた。元派遣勤務者を対象とした調査からは、帰任後の離・転職および帰任先企業での個人のパフォーマンスは、受け入れ組織ことに上司が、派遣勤務者の海外での経験をいかに活用できるかにかかっていた。同様に、海外勤務の動機付けが弱い派遣者であっても、派遣先の上司によっては個・組織双方にプラスの働きをすることも示唆された。人的資源開発の一貫として、多様性の活用能力を管理職者が習得し適切な指導とリーダーシップがはかれ、快適職場環境を形成できるような研修・環境整備が重要であると考えられた。
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Research Products
(3 results)