2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール依存症者のQOL向上とピアサポートの役割
Project/Area Number |
16530370
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松田 博幸 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (30288500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児島 亜紀子 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (40298401)
田垣 正晋 大阪府立大学, 人間社会学部, 講師 (30347512)
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Keywords | アルコール依存症 / ピアサポート / セルフヘルプ・グループ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、アルコール依存症者のQOLに大きな影響を及ぼしているピアサポートの重要な場であるアルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous ; AA)に焦点をあてて研究をおこなった。今年度は、質的研究そのものに関する理論的研究に加えて、AAの参加者に対するインタビューの質的分析を通して、AAの参加者がどのようにAAのプログラムを使用しているのかを明らかにすることを試みた。その結果、(1)参加者はかならずしも参加当初からAAの多様なプログラムを使えるようになっているわけではないこと、(2)グループ内でのパワーゲームがプログラムの使用の障壁となることがあること、しかしながら、(3)使える限りのプログラムを使うことでパワー・ゲームに対処できるようになること、が明らかになった。そして、さらに、パワーゲームに対処する際に、「12ステップ」プログラムにおける「ハイヤーパワー」の概念が重要な位置を占めていることが明らかになった。加えて、プログラムの実践における「完壁であることの不可能性」が回復を可能にしていることもわかった。昨年度までの研究において、援助専門職者が、AAから影響を受けて自らの実践の形を変えることがあることがわかったが、以上を通して、そのような影響の核となる過程が明らかになり、昨年度の研究成果をさらに深めることが可能となった。 以上の成果を踏まえて、「ハイヤーパワー」がAAのメンバーにとってどのような意義を持つのかについての理論的研究をおこない、「ハイヤーパワー」という概念を中心としたAAのプログラムがアルコール依存症者のQOLに及ぼす影響が明らかにされた。
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Research Products
(1 results)