2004 Fiscal Year Annual Research Report
ライフストーリー研究を用いた四国遍路の変遷および健康心理学的意義の検討
Project/Area Number |
16530406
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
福島 明子 作新学院大学, 人間文化学部, 助教授 (20334568)
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Keywords | 遍路 / 心理社会身体的健康 / 健康心理学 / ライフストーリー / フィールドワーク |
Research Abstract |
交付の決定を受けたのは2004年10月で、新学期がスタートしたあとであった。そのため大学の仕事に忙殺され、調査に出かける時間をつくることが困難で、東京に調査に出るのがやっとという状態であった。そこで大学の仕事が落ち着くまでは、資金不足のためこれまで揃えることができずにいた調査に必要な機材を揃えることにした。カメラ、ビデオ、視聴覚資材編集用のDVDレコーダーを購入し、調査やデータ分析を行う環境が整った。 大学の仕事がひと段落ついた2005年2月から3月にかけ、2回に分けて九州、中国、関西においてフィールドワークを実施した。上記研究課題は、大きく分けると、(1)四国遍路の変遷、(2)健康心理学的意義の検討の2つに分けることができる。このうち(2)については、平成13年以降四国を中心として調査を積み重ねてきた。次頁のとおり、遍路を歩くことによる健康への効果を学会や単行本において明らかにしてきた。一方、(1)のうち、過去のお遍路さんについてはほとんど進展をみずにいた。というのも、明治時代から昭和初期にかけて遍路を歩いた人のご子孫を探し出しインタビューを行うという手法をとっているため、調査対象者が全国各地に散らばっており、資金不足のため学会等で地方に出かけるおりに「ついで」として予定を組み、細々と調査を行うのが精一杯だったのである。しかし科学研究費補助金の交付を受け、お遍路さんの末裔探しに拍車がかかった。他の用事のついでに行くのではなく、十分な旅費と時間をかけて探し回ることができたのである。交付を受けるまでの2年間に熊本、岡山、兵庫でご子孫を探し出しインタビューを行ってきたが、平成16年度はさらに大分、福岡、広島、愛知、京都においてお遍路さんのご子孫に巡り会った。写真や遍路道具等も見せていただきながら詳細なインタビューを行い、昔のお遍路さんがなぜ、どのような思いで遍路を歩いたのか、その一端を知ることができた。データの整理も容易になった。これまではインタビューを行うと自分自身でテープ起こしを行ってきた。テープ起こしには、インタビュー時間の7、8倍の時間を要するため、夏休みや春休みなどまとまった時間にしか行うことができず、論文執筆に至るまでに長い期間を要していた。しかしテープ起こしを業者に依頼できるようになり、フィールドワーク後、すぐにデータ分析に取りかかることができるようになった。 以上のように科学研究費補助金の交付を受けることにより、調査に必要な機材が揃い、十分な費用をかけて調査を実施でき、またデータの整理も容易になるなど、研究が飛躍的に発展した。平成17年度も引き続き昔のお遍路さんの末裔探しを続け、秋以降は学会発表および論文執筆を行い、成果を公表していきたい。
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Research Products
(2 results)