2004 Fiscal Year Annual Research Report
親子三者間の共同行為の中で習得される幼児のコミュニケーションスタイル
Project/Area Number |
16530407
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 佳世子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加須屋 裕子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (60296291)
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Keywords | コミュニケーションスタイル / 三者間相互行為 / 幼児 / 言語環境 / 会話参加 / 文化的道具 / 家族 / きょうだい |
Research Abstract |
家庭において親によって提供される言語環境と、幼児が習得するコミュニケーションスキルとの関係をみるために、父親および母親の提供する言語環境の違い、年長のきょうだいの機能を明らかにすることを目的とした。2歳6か月の対象児が父親(および母親)ときょうだいの三者で、おもちゃを媒介として自由に遊んでもらい、VTRに録画・観察をおこなった。収集したデータのうち、男児きょうだいペア13組の相互行為の特徴を抽出した結果は以下のようなものであった。1)母親は相互主観的に関わり、対象児の行為に先立って働きかけ会話参加の動機づけと支援をおこなった。2)父親は確認・応答的に関わり、対象児の要求や意図を確認し、意思の表出に応じて後付け的に対応していた。3)きょうだいは、親の働きかけに対応して、対象児に対して補足的に関わり、母親参加場面では同等・競合的に、父親参加場面では情報提供・教示的な機能を果たしていた。このことから、子どもが適応的なコミュニケーションスタイルを獲得するためには、このような相互主観的モード(ウチの視点)によって会話参加のための発話スキルの学習を促進していることが示唆された。さらに、きょうだいは子どもにとって、対象をめぐっての競争相手であると同時に重要な発達モデルでもある。以上のように、コミュニケーションスタイルという文化的道具を共同使用し再構成していく上で、家族のメンバーがそれぞれ固有の役割をはたしていることが示された。
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