2004 Fiscal Year Annual Research Report
期待効用理論によらない非合理的な行動を支える心理機制に関する実証的研究
Project/Area Number |
16530410
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
安藤 明人 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (70159523)
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Keywords | 期待効用理論 / 非合理的行動 / 擬似ギャンブリング行動 / コントロール錯覚 / コントロール欲求 / 原因帰属 / 後悔 / 喜び |
Research Abstract |
本年度は,ギャンブリング事態におけるコントロール錯覚に関する下記の研究を実施した。授業等を利用して研究に参加できる大学生をリクルートし,Burger & Cooper(1979)のDC尺度の日本語版(安藤,1995)を用いてコントロール欲求の強さを測定した。 その中から実験参加者を募り(自由意志での参加),コンピュータ・モニター上に提示される「スロットマシーン」に似たゲームを実施させた。本年度はこの擬似ギャンブリング事態をシュミレートできるコンピュータソフトの作成およびその調整に時間と労力を費やし,ほぼ完成に至った。しかし,<あたり>と<はずれ>の出現確率の決定において,まだ検討すべき事項が若干残された。そのため,現段階では予備的実験として,擬似ギャンブリング事態における意思決定とその意思決定に伴う感情・気分(喜び,満足,後悔)の測定を行った。また全試行終了後,得点をフィードバックし,その点数の個人的評価とその結果の原因帰属(内的・外的)についても回答を求めた。 以上の研究より,暫定的ではあるが,ギャンブリングゲームの成績いかんに関わらず,満足や喜びを感情として伴う意思決定に関しては,内的に帰属し,一方,後悔を伴う意思決定に関しては,外的に帰属することにより,自己の内的な不快感・不全感を回避しようとしていることが推測された。ただ,この結果とコントロール欲求とのはっきりとした関連は見出せなかったので,これが実験事態・実験手続き的原因に起因することも考えられるので,この検討を行った上で,平成17年度の本実験に臨む必要のあることが確認できた。
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