2005 Fiscal Year Annual Research Report
実物教材の導入が英文読解への意欲と理解を促進する効果に関する教育心理学的研究
Project/Area Number |
16530416
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇野 忍 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30004120)
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Keywords | 英文読解 / 実物教材 / 映像教材 / 文章教材 / 興味関心度 |
Research Abstract |
1.昨年度研究において、実物教材(三葉虫の化石)を用いた英文読解を内容とする実験授業を行い、実物教材による問題導入→答えの予測→英文読解(和訳)という問題解決過程の導入が英文読解に対する意欲や理解に及ぼす効果を検討した。 2.本年度は、問題導入場面に写真と文章を用いる教授プランと文章を用いる教授プランを作成し、問題解決過程を導入した英文読解の実験授業を大学生106名を対象に行い、以下の実績を得た。 1)写真教材群(47名)と文章教材群(59名)では、英文処理能力を反映する分かち書きテスト得点において前者(平均41.7点、標準偏差=12.5)が後者(平均47.2点、標準偏差=13.3)に劣った。 2)しかし、英文和訳の正確さ得点では両者に差が見られなかった(第1文:前者6.49点、後者6.50点、第2文:前者3.45点、後者:3.25点)。 以上から、英文処理能力が劣る群でも同様の訳が産出できるのだから、写真教材が文章教材よりも有効と思われた。しかし、 3)問題の答えの予想数こそ写真教材群が多いものの、予想の確信度得点、答えを内容とする英文の読みたさ度などの数値は文章教材群の方がよかった。また、4)授業内容が面白い:写真教材群47%<文章教材群56%、自分の予想を確かめるために英文を読むのは面白い:写真教材群70%≦文章教材群75%、三葉虫のことを友人に説明できる:写真教材群49%<文章教材群66%、とアンケート結果は文章教材群の方が肯定的であった。それを裏づけるように、5)予想を立てたことで英文が読みたくなった:写真教材群60%=文章教材群59%と教材による差はなかった。 以上から、どの教材を用いて問題を導入されるかよりも、問題-解答の予想(解答の知りたさ)-英文の読みたさ-読解や理解の正確さという一連の問題解決過程として授業を組織化することが、大学生の英文読解への意欲や理解に影響を与えることが示唆された。
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Research Products
(1 results)