2006 Fiscal Year Annual Research Report
知的発達障害児における自己-他者認識の分化過程に及ぼす生活年齢効果の縦断的検討
Project/Area Number |
16530424
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
寺川 志奈子 鳥取大学, 地域学部, 助教授 (30249297)
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Keywords | 自他の分化 / 縦断研究 / 生活年齢効果 / 知的発達障害児 / 発達年齢 |
Research Abstract |
今年度は、養護学校児童を対象とした縦断的研究の9年目に当たる。縦断研究開始時点で小学部に在籍していた発達年齢2歳台の対象児童の9名のうち、高等部に在籍する3名に対して、自他の分化プロセスを縦断的に捉えることを目的として、新版K式発達検査の実施と、自己意識・他者意識に関するインタビューを実施した。3名は、いずれも発達年齢4,5歳台に達していた。発達年齢2歳頃の課題と考えられる行為の主体としての自他の分化に関しては、研究開始時点で未分化群と捉えられた1名もすでに自他の分化レベルに達し、3名ともに自己や他者の意図への気づきのレベルへ移行していると捉えられたが、発達年齢5歳半頃の課題と考えられる自己・他者間の視点移動については、いずれも困難さを呈していた。また、発達年齢4,5歳台という共通性の一方で、自己意識(自分のいいところ、自分の直したいところ、大きくなったら何になりたいか、3つの願い等)や他者意識(好きな人とその理由等)に関するインタビューや、クラス担任への聞き取りから把握された生活空間の広がりや時間的な見通しについてはかなり個人差がみられ、それらの思考を支える言語能力との関連、および生活経験や生活年齢の効果が指摘された。 来年度は縦断的研究10年目に当たり、各対象児について学齢期の緩やかな発達における質的変化の時期に着目しながら、自他の分化プロセスと生活経験・生活年齢との関連についてまとめていく予定である。
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