2007 Fiscal Year Annual Research Report
知的発達障害児における自己-他者認識の分化過程に及ぼす生活年齢効果の縦断的研究
Project/Area Number |
16530424
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
寺川 志奈子 Tottori University, 地域学部, 准教授 (30249297)
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Keywords | 知的発達障害児 / 縦断研究 / 生活年齢効果 / 自己認識 / 他者認識 / 自他の分化 |
Research Abstract |
今年度は、特別支援学校児童を対象とした縦断的研究の10年目に当たる。縦断研究開始時点で小学部に在籍していた発達年齢2歳台の対象児童の9名のうち、高等部に在籍する2名に対して、自他の分化プロセスを縦断的に捉えることを目的として、新版K式発達検査2001の実施と、自己意識・他者意識に関するインタビューを実施した。但し、縦断研究の対象児であった生徒の内1名は、不登校により実施ができなかった。実施ができた2名はいずれも発達年齢4,5歳台に達していた。発達年齢2歳頃の課題と考えられる行為の主体としての自他の分化に関しては、いずれも自他の分化レベルに達し、2名ともに自己や他者の意図への気づきのレベルへ移行していると捉えられたが、発達年齢5歳半頃の課題と考えられる自己と他者間の視点移動については、いずれも不確実さを残していた。また、発達年齢4,5歳台という共通性の一方で、自己意識(自分のいいところ、自分の直したいところ、大きくなったら何になりたいか、3つの願い等)や他者意識(好きな人とその理由等)に関するインタビューやクラス担任への聞き取りから把握された生活空間の広がりや時間的な見通しについてはかなり個人差がみられ、それらの思考を支える言語能力との関連、および生活経験や生活年齢の効果が指摘された。緩やかな発達をみせる学童期にあっても、特に高等部卒業を見通す時期になると、現実吟味の高まりがみられ、それとの関連で仲間(他者)や自己を捉える認識にも変化がみられ、生活年齢の効果が顕著であった。
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