2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本の児童生徒の希望についての比較文化的発達的検討
Project/Area Number |
16530428
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 弘純 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30036412)
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Keywords | 希望概念 / 自己信頼 / 児童生徒 / 精神的健康 / 社会的比較 / 比較文化的検討 / 中国 / 米国 |
Research Abstract |
1.比較文化的研究を行う基盤の形成 ベルギーで開催された国際行動発達学会(ISSBD)及び中国・北京で開催された国際心理学会議(ICP)に参加し、米国や中国の研究者と意見交換し、研究計画について、相互理解を進展させ、暫定的な研究仮説をまとめた。電子メールや電話や手紙によって、仮説ばかりでなく、研究方法や結果の分析方法についても共通認識を得るよう試みた。 2.希望概念の明確化と希望を測定する用具の開発 文献的研究を通じて、希望概念の明確化をはかった。すなわち、明日の明るさや好意的評価などを基底とする定義を採用することにした。大学生を対象とする自由記述による調査とインタビューを通じて、また、小学生を対象とする希望についての調査を整理することによって、希望についての試行的尺度を構成した。 3.希望の規定因及びその精神的健康への影響についての結果の分析 従来、日本と米国で行ってきていた希望の規定因及びその精神的健康への影響に関わる調査結果を整理した。この整理から、新しい調査項目群を構成するには至っていない。 4.研究結果の公表 国際行動発達学会、国際心理学会、日本心理学会等において、希望についての日本と中国の児童生徒間の比較調査結果、及び日本の児童についての調査結果を発表した。また、希望と信頼と拒否あるいは調和の関連に関する論文や思春期において寛容や希望の持つ意義に関する論文をまとめた。そこでは、中国においては、他者や社会との調和が希望を生み出すとでも解される結果等を得た。日本の結果と相違していた。 5.社会的比較と自己信頼に関する調査の実施 希望の規定因として、他者信頼と自己信頼があるが、日本の児童生徒は自己信頼が低いことから、自己信頼と密接に関わる社会的比較に関する調査を実施し、現在結果を整理中である。
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