2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本の児童生徒の希望についての比較文化的発達的検討
Project/Area Number |
16530428
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 弘純 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30036412)
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Keywords | 希望概念 / 自己信頼 / 自己安心感 / 児童生徒 / 動機づけ / 比較文化的検討 / 米国 / 中国 |
Research Abstract |
1.これまで実施してきた調査結果の分析と検討 (1)日本、米国、及び中国において、小学生・中学生・高校生を対象に実施した希望についての調査結果を、米国と中国の研究者と相互討論しつつ、分析し検討した。 1)日本では、個々の児童生徒の信頼(特に、他者に受け容れられているという安心感)が、彼らの希望を育み、寛容に影響するという結果であったが、2)米国では、希望が、相互信頼を育み、これが寛容に影響しており、3)中国では、相互信頼が、社会希望を含む希望に貢献し、これが調和に影響するという結果であった。日本の独自性は、日本的集団主義から検討された。 (2)過疎地域の小学生と中学生を対象とする遊びや手伝いなどの日常生活と信頼・希望との関連性を分析した。遊びや手伝いが地域の自然環境に関わっているほど、信頼や希望が涵養されるとの結果であった。 (3)日本の小学校高学年児童を対象とする調査から、希望が「自己向上」の動機づけを高め、これを介して、友人関係の肯定的側面に影響を与えることが示された。希望が精神的健康へ積極的な貢献をすることが示唆された。 2.新しい希望概念のもとでの調査 希望を再々考して、新しい希望概念を提案し、それに基づく調査項目群を作成して、大学生対象に調査した。社会的比較と負の相関を持ち、自尊感情と正の相関を持つ〔対他的・対自的自己安心感〕が、希望に肯定的影響を及ぼしていた。 3.研究結果のとりまとめと公表 これまでに得られた結果の一部について、7月の第26回国際応用心理学会、及び9月の日本教育心理学会第48総会などで発表し、大学の紀要や学会誌に投稿した。また、過去3年間に渡る研究の取り纏めを行い、研究成果報告として公刊した。来年度には、日本心理学会第71回大会で、小講演を行うほか、学会で発表する。
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