2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530430
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古城 和敬 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (00145351)
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Keywords | 勇気づけ / 学級適応 / 教師期待の認知 / 学級雰囲気 / 教師と児童の人間関係 / 学級介入研究 |
Research Abstract |
本研究は、最近注目されている「勇気づけ」のコミュニケーション技法を教師に実践するよう求め、それによって児童の学級適応がどのように変容するかを実証的に検討することを目的とした。本研究の趣旨に理解を示し、研究協力を承諾した現職教員に「勇気づけ」のトレーニング(9セッション、計約18時間)を行い、その後各自の担任学級で2ヶ月間の勇気づけ実践を求めた。実践前、実践中(1ヶ月経過時)、および実践後(2ヶ月後)に、学級適応や学級雰囲気、教師期待の認知などを測定する質問紙を児童に実施した。なお、実践学級は2学級であり、実践の効果を査定するための統制学級は4学級であった。以下のデータ処理においては、これまでに蓄積した実践学級6,統制学級4を加えて行った。また、本来学級単位のデータを用いるべきところであるが、標本数がまだ少ないため、児童個人のデータを用いて処理している。 条件(実践学級vs.統制学級)×測定時期(事前vs.事中vs.事後)の2×3の分散分析の結果、教師期待認知の得点において交互作用に傾向がみられ(p<.10)、事前では両学級に差が認められなかったが、事後には実践学級の方が統制学級より有意に得点が高かった(p<.01)。その他の測度では、有意な交互作用は認められなかった。 勇気づけは、「反映的な聴き方」や「I-メッセージ」を用いて、児童に受容的・共感的な態度を示し、彼らの主体性や自律性を促す技法であるが、本研究から、この実践が児童の学級適応の一指標である対教師関係に肯定的な効果を及ぼすことが示唆された。なお、本研究では、実践学級の数名の児童に適宜面接を行い、教師や学級に対する態度の変容過程も検討しているが、紙幅の関係上、ここでは省略する。
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