2006 Fiscal Year Annual Research Report
異なる保育環境におかれた乳児の適応を規定する要因の研究
Project/Area Number |
16530432
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Research Institution | Hokkaido Health Science University |
Principal Investigator |
中野 茂 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (90183516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池邨 清美 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (80201911)
草薙 恵美子 國學院短期大学, 幼児児童教育学科, 教授 (90341718)
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Keywords | 乳児 / 第一次・第二次間主観性 / 母親の感受性 / 乳児のアタッチメント / 発達環境 / プレイフル / 共同注視 / 随伴性 |
Research Abstract |
従来の発達研究では仲間性・間主観性と母親の感受性・アタッチメントという対人発達の根幹を成す二次元は別々な研究から取り組まれてきた。そこで、本研究では、それら二次元の相互関係を交差文脈的視点から、親の社会情動的個人差が生み出発達環境違いを乳児期全般の縦断研究によって追求しようとするものである。 今年度は、縦断的データの収集に加えて、これまで得られたデータの分析、成果の公表、学会誌などへの投稿、報告書の作成などに努めた。データ収集では、ビデオ育児日記法による3か月家庭場面での母子のやりとりから母親のやりとりスタイルの測定、4か月時点でのダブルビデオパラダイムによる第一次間主観性の個人差の測定、6か月家庭訪問時に実施した母子遊び場面での母親の感受性の測定、10か月実験室測定による共同注視、第二次間主観性の測定、13か月時点でのストレンジ・シチュエーション法による乳児のアッタチメントタイプの測定などを実施した。これらのデータ数(参加協力母子数)は最終的には50名前後に至った。 いくつかの有意義な結果が得られ、公表することができた。第一に、4か月時点でのダブルビデオパラダイムからは、3か月時点での母親のプレイフルさが子どもの間主観的随伴反応を引き出す一方で、3か月時点での乳児の反応への親の感受性の高さは関係のないことが見出された。第二に、6か月時点での親の感受性は13か月の乳児のアタッチメントタイプと関係するが、プレイフルさは感受性とも乳児のアタッチメントとも関係が認められなかった。第三に、10〜11か月での第二次間主観性課題、共同注視課題の得点は、感受性を含む親の社会情動的個人差と関係性が得られなかった。したがって、これらの成果から仲間性・間主観性と母親の感受性・アタッチメントの二次元は独立な発達経路を辿ることが示唆される。
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Research Products
(4 results)