2005 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的・聴覚的振動刺激を利用した魚類・鳥類の環境認知能力に関する研究
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16530467
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大井 修三 岐阜大学, 教育学部, 教授 (70092393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 捨夫 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40118849)
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Keywords | キンギョ / 縞模様の弁別 / 視覚弁別装置の開発 / 弁別方略 / 雌セキセイインコ / さえずり知覚 / Zenkたんぱく質 / 雄のさえずり |
Research Abstract |
本研究は、生物が持つ振動刺激の知覚機能を手がかりに、それぞれの動物種の環境認知の特徴を探ろうとするものである。 キンギョの研究では、白黒縞模様を用いて、これまでに垂線に対する右下がり斜線の角度弁別閾が10度であること、斜線弁別のために傾角方略が使えないにもかかわらず、傾向方略だけで斜線の弁別が可能であることを示してきた。17年度はさらにデータを重ね、垂線に対する角度弁別閾は、左下がりでも10度であることを示した。一方で、従来使用してきた装置には改良すべき点もあった。一つには、刺激提示枠が長方形であり、提示刺激が縞模様としての刺激になったのか、その刺激と枠との関係で複雑に成立するさまざまな視覚手がかりだったのか、といった刺激統制の難しさがあった。二つ目には、刺激の位置交代を、刺激の抜き差しによって行わなければならなかった。これらの点を改良するために、昨年に液晶表示を利用した新装置を開発した。今年はこの装置の有効性、その装置での適切な刺激の作成を行い、新装置でも縞模様弁別が可能であることを示した。 鳥類の研究では、セキセイインコを被験体にさえずり知覚の中枢機構の解明をテーマとしている。雌セキセイインコによるさえずり知覚には後頭部高次聴覚領域NCMが関係するが、前頭部高次聴覚領域NFの役割は不明である。鳥のさえずり知覚には高次聴覚領域から神経入力を受ける高次発声領域が関与しているとする報告がある。NCMに比べ、NFは発声領域と近接しているので、さえずり知覚に関係している可能性がある。そこで、ニューロンの活性化指標になるZenkタンパク質の雄のさえずり刺激による発現を2つの領域間で比較したところ、NFには有意なZenkタンパク質の発現が認められなかった。雌セキセイインコによるさえずり知覚にはNFは関与していない可能性がある。(鳥類の研究では、北里大学医学部・生理学教室・佐藤亮平氏の協力を得た。)
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Research Products
(3 results)