2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530474
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
田多 英興 東北学院大学, 教養学部, 教授 (90045675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 慈子 仁愛大学, 人間学部, 助教授 (90340033)
大平 英樹 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (90221837)
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70237139)
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Keywords | 瞬目 / 霊長類 / 個体発生 / 系統発生 |
Research Abstract |
数年前から始めた瞬目データの収集は今年度前半で一応完成した。記録を始めた段階で日本モンキーセンターに居た霊長類の種は84種であったが、在園しているサルたちの高齢化による死亡、あまりの動きの激しさの故に記録を諦めたり、など様々な理由で最終的に解析可能な種は71種になった。その71種について昨年度報告した方法でのデータ解析をし、大よその傾向を特定するに至った。従属変数としては、1)瞬目率、2)瞬目時間、そして3)単独瞬目率(例えば頭部運動などの他のどの身体運動とも連動していない瞬目の比率)である。この3つの従属変数ごとに、1)系統差(科と通称の4水準)、2)活動リズム(夜行性・昼夜行性・昼行性)、3)生息条件(樹上・班地上・地上)、3)体重、4)身長(頭胴長)、などと関連を検討した。 その結果は前回報告した内容とほぼ同じ傾向のものであったが、ヒトとの比較でいえば,瞬目率はヒトの半分から1/3程度の低頻度であること、瞬目時間はヒトの約半分の短時間であること、単独瞬目率も極めて低率であること、などが特徴として浮かび上がった。さらに霊長類内での比較では、1)瞬目率と単独瞬目率とは概ね系統差を反映する方向であった、2)しかし、瞬目時間にはあまり顕著な種間の差は見られなかった、3)瞬目率には活動リズムと生息環境の両方の要因が影響するが、特に夜行性のサルの瞬目率の著明な低さが注目された、4)単独瞬目率は生息環境の影響が強く、地上性の生活になるほどこの率が上昇した、ことなどが主な結果である。これらの条件に加えて、系統差の中には体重や身長などの要因が絡み合って複雑な効果を与えることが示唆された。今後はさらに個体数を増やしてこれらの結果を確認することと、霊長研における幼児サルの瞬目の発達研究、さらに実験研究などを平行して進める予定である。
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