2004 Fiscal Year Annual Research Report
犬および犬型ロボットとの関わりにみる乳幼児の生物概念の発達的変化
Project/Area Number |
16530479
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Research Institution | Tokai Women's University |
Principal Investigator |
友永 利佳子 東海女子大学, 人間関係学部, 講師 (00367575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友永 雅巳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70237139)
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Keywords | 乳児 / 生物物概念 / 犬 / 犬型ロボット |
Research Abstract |
近年の研究から、乳児は1歳になる頃に生物と無生物を見分けているといわれている。そこで2歳児以下の被験児(男児4名、女児2名、8ヶ月〜17ヶ月齢)を対象に、以下の4つの刺激を各3分間呈示し、ビデオによる記録から刺激に対する反応を分析した。刺激として用いたものは、(1)ラジコンカー、(2)AIBO、(3)犬のぬいぐるみ、(4)犬(ミニチュアダックスフント)であった。母親に被験児の左隣に間隔を約50cm空けて座るよう教示した。なお刺激の呈示順序はカウンターバランスをとった。刺激は被験児と向き合うように2m離れた地点に置いた。Poulin-Dubois(1996)らの先行研究をもとに乳児の行動を13カテゴリーに分類し、3秒ごとの1-0サンプリング法で行動の生起頻度を測定した。ラジコンカー条件では男児のみに「触って動かす」などのポジティブな反応がみられた。AIBO条件では注視行動が多くみられたが、ネガティブな行動やを途中で無関心を示した乳児が多かった。犬のぬいぐるみには6名の被験児すべてがポジティブな反応を示しており、1名を除きすべてがぬいぐるみに接触した。小型犬に対しては、前半では注視行動が多く、その後2名の乳児が接触を試みようとした。また2名は母親とずっと接触しており、残る2名は犬に接近したり母親のもとに帰ったりといったアンビバレントな行動がみられた。全体に、乳児は犬のぬいぐるみと犬に対する行動パターンが似ていることが示された。4本の足を持ち、毛がはえていて、2つの目があることが、犬のぬいぐるみと犬が子どもの積極的な接近行動・接触行動を誘発したのではないかと考えられる。しかしながら実験の印象では、犬のぬいぐるみに対しては明らかに耳を持ってふりまわす、母親に見せにいくなど、明らかに「玩具」としての扱いをおこなっている一方、犬に対してはまず注視の時間が長く、その後接近・接触行動がみられた。よって、今後は行動の時系列的な分析が必要になると思われる。刺激の目と乳児のアイ・コンタクトの再分析もおこないたい。
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