2005 Fiscal Year Annual Research Report
敗戦直後の日本における戦争孤児・浮浪児に関する歴史的研究
Project/Area Number |
16530486
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
逸見 勝亮 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20002321)
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Keywords | 浮浪児 / 戦争孤児 / 引揚孤児 / 「鐘の鳴る丘」 / 「緑の丘」 / 菊田一夫 / フラナガン神父 |
Research Abstract |
(1)『朝日新聞』『読売新聞』から1945-1958年の間の戦争孤児・浮浪児・引揚孤児に関する記事を調査・収集し、新聞報道における掲載動向の変容過程を考察した。特に、フラナガン神父の動向に注意を払った。 (2)本研究費で購入した『海外引揚関係史料集成』(ゆまに書房)により、全引揚援護局における引揚孤児の動静について調査し、恩賜財団同胞援護会「全国所在地別引揚戦災孤児収容施設調」、同「孤児名簿」(第1〜第3集)<過年度別経費で購入済み>から判明する、引揚孤児数・引揚孤児収容状況などと比較対照して、旧外地・植民地からの引揚ルート、各引揚援護局における引揚孤児の受け入れ状況などについて考察した。 (3)『ラジオ年鑑』、『放送文化』などにより、浮浪児収容施設である「少年の家」を舞台とし、「青少年の不良化防止」を主題としたNHKラジオドラマ「鐘の鳴る丘」(菊田一夫作、1947年7月5日〜1950年12月29日、790回)作成の背景について考察した。 (4)放送録音は保存されていないと思われるので、NHK放送博物館所蔵「鐘の鳴る丘」放送台本(菊田一夫旧蔵)によって、ドラマの大筋と菊田一夫の制作意図を考察した。あわせて、刊行されたトーキーシナリオ『鐘の鳴る丘』(斉藤良輔脚色、東京書肆1948年)、『鐘の鳴る丘』(第1集 隆太の巻、第2集 修吉の巻、ラジオ新聞社出版部、1948年)との異同について考察した。 (5)NHK放送博物館所蔵史料により、人気を博したとされる「鐘の鳴る丘」に関する投書の動向を考察した。 (6)映画史上興業的に最も成功した作品とされそいるラジオドラマと同名の映画「鐘の鳴る丘」について、映画と放送台本との異同を検討し、映画関連雑誌における評論を参照して、映画史上の市について考察した。また、「鐘の鳴る丘」全校参観を実施した小学校も散見されるので、映像が児童に与えるインパクトについても考察を試みた。
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