2006 Fiscal Year Annual Research Report
敗戦直後の日本における戦争孤児・浮浪児に関する歴史的研究
Project/Area Number |
16530486
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
逸見 勝亮 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20002321)
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Keywords | 浮浪児 / 戦争孤児 / 鐘の鳴る丘 / 菊田一夫 / 引揚援護局 |
Research Abstract |
1.浮浪児救済・青少年不良化防止を銘打ったNHK連続放送劇「鐘の鳴る丘」(菊田一夫作、1947年7月5日〜1950年12月29日、790回)について、以下のような研究を行った。 (1)従前の研究における「鐘の鳴る丘」への言及は、同時代の印象・感想に依拠しがちであるので、「鐘の鳴る丘」放送台本(NHK放送博物館所蔵)を通読して放送劇の構成と内容を分析し、復員兵修平と浮浪児たちは、浮浪児を食いものにする山田一家(スリ)に立ち向かい、村人の偏見と闘いながら「少年の家」を建設し、やがては北海道開拓にも従事するにいたる、浮浪児自立の物語であることを明らかにした。 (2)第1・第2放送における再放送、映画化、小説化、舞台劇化、紙芝居化、主題歌「とんがり帽子」のレコード化など、「鐘の鳴る丘」の多数のヴァリエーションの存在、わけても選抜高等学校野球大会行進曲に「鐘の鳴る丘」主題歌「とんがり帽子」が選ばれたことは、放送劇「鐘の鳴る丘」が広範囲に流布し、聴取者に好評を博したことの証左である。 (3)菊田一夫は「鐘の鳴る丘」において、「憐憫」と「取り締まり」(犯罪者視)の間におかれていた浮浪児・戦争孤児たちに、幸福に生きる「糧」を与えるべく、親を探し出し、養父母を見つけ、開拓農場建設に従事させた。 (4)教育史学会第50回大会(2006年9月)において、上記研究成果の一部を「ラジオ・ドラマ『鐘の鳴る丘』考」として発表した。 2.引揚援護局関係資料を収集して、引揚孤児の諸相を解明した。舞鶴・鹿児島・佐世保・博多引揚援護局については、援護局設置箇所・児童支援施設を訪問するとともに、当該県・市史関係文献・地方新聞など社会事業関係記事を収集し、併せて引揚孤児収容施設記録・孤児名簿を収集した。
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