2004 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける大学教育学形成にかかわる大学理念論に関する研究
Project/Area Number |
16530497
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
津田 純子 新潟大学, 大学教育開発研究センター, 教授 (90345520)
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Keywords | ドイツにおける大学教育学運動 / 大学の理念 / 大学教授法 / 国際研究者交流 / ドイツ |
Research Abstract |
本研究は、ドイツにおける「今日の大学教授学(Hochschuldidaktik)の先駆」と歴史的に意義づけられている、「大学教育学(Hochschulpadagogik)」がどのように形成されたかについて、大学教育学運動の中でおこなわれた近代大学の理念に関する論議に注目して明らかにすることを課題としている。最終的なねらいは、大学教育学の体系化や組織化において果たした大学理念論の役割を明らかにし、それが現代のドイツ大学教授法にどのように継承されているか考察することを通して、日本の大学教員文化に対応したより効果的なFDカリキュラム理論の構築法や組織化について検討することにある。 そのために今年度は、日本の高等教育研究における大学理念論と日独のFDに関する情報・資料を収集しながら、ドイツでの二度にわたる調査研究((1)平成16年9月28日〜10月7日、(2)平成17年3月1日〜3月9日)、第一次資料を主とした調査・収集ならびに先行研究者への面談、現在の大学教授法プログラムへの参加を中心に実施した。最新の研究動向は、大学教授法継続教育(日本ではFD)の義務化と資格化が進められる中で「大学教授法ブーム」が根づく状況を背景として、これまで大学教授法研究者が主に研究対象としてきた大学教育学運動について、大学史研究者も論及するようになってきていることである。大学史研究者H.H.Brandtは、学校と峻別する「大学の理念」「学習の自由」によって生じる転換教育問題への改善運動として大学教育学運動を位置づけている。 今回面談した大学教授法研究者は、学生紛争時代以降大学教授法の体系化・組織化をめざして大学教育学運動を歴史的に研究しさらに広い観点から捉え直し、「大学の理念」が大学教育学運動を経て現在の大学教授法に継承されている教育理念(学びの共同体としての大学)を根拠づけるもの、学生・教授の自己管理教育力を重視する学習革命、構成主義的学習・教授理論に基づく大学教授法継続教育を支える基盤である、とみなしている。大学教授法継続教育は、学びの共同体を活性化するための大学教員のキャリア開発・それを支える大学経営(組織開発・学問研究開発)の視点を含めて領域やプログラムを展開するべきであると考えられるようになっている。
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Research Products
(1 results)