2006 Fiscal Year Annual Research Report
臨床教育学的・エスノグラフィー的・物語論的教育研究の展開
Project/Area Number |
16530506
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
本山 方子 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30335468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉峰 英憲 奈良女子大学, 文学部, 教授 (70025112)
浜田 寿美男 奈良女子大学, 文学部, 教授 (50113105)
森岡 正芳 奈良女子大学, 文学部, 教授 (60166387)
西村 拓生 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (10228223)
天ヶ瀬 正博 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (00254376)
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Keywords | 教育学 / 教育心理学 / 授業 / 臨床 / 物語論 / エスノグラフィー / 言説 |
Research Abstract |
1.臨床教育学的・エスノグラフィー的・物語論的教育研究の理論的展開可能性の検討 臨床教育学的・エスノグラフィー的・物語論的(以下、臨床的解釈学的)な教育研究の理論的展開可能性について検討した。臨床的解釈学的教育研究の展望と課題(西村)、「物語り論」的教育研究の可能性(西村)、学校言説をめぐる逆行的構成と「形成論」(浜田)、人称的科学としてのナラティブ論(森岡)、教育研究の方法としての質的研究法の批判的検討(天ヶ瀬)、現場との協同や研究者のポジショニングからみた臨床的解釈学的教育研究の可能性と限界(本山)である。これらの検討を通して、臨床的解釈学的アプローチは、言説で構成される教育の「現実」の構成と再構成において、語り直しや読み直しを通して意味の浮揚や顕在化させることに有効であるが、一方で、意味生成の威力は、大局的視野の喪失や、調査者の思考や経験の限定を引き起こしうることが示唆された。 2.臨床的解釈学的方法論の教育研究への適用 (1)授業規範の生成過程:小学1年生の入学時から1年間のエスノグラフィー研究を行った。教師は標準的な行為の提示により規範を導入するが、子どもに定着しかけると「例外」を導入し、規範の適用範囲を拡張した。(本山) (2)小学校高学年の仲間関係の形成:小学4年生の2年間のエスノグラフィー研究により、4年生の後半頃から、仲間間の境界づけとそれをめぐる攻防が、消極的逃避的関与に始まり、戦略的関与に至る過程を明らかにした。(本山) (3)授業のテクスト化と語りの共有:授業者及び観察者による授業のテクスト化をもとに、子どもや授業者の授業経験について語りの生成を試みた。授業者の省察の語りは他者と共有されることで問題が明確化され、自らの実践に還元されていく点について、カンファランスでの発話に着目し、その過程を明らかにした。(西村)
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Research Products
(4 results)