2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代型問題行動と生徒指導モデル-教員支援に関する臨床教育学的研究-
Project/Area Number |
16530507
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
松浦 善満 和歌山大学, 教育学部, 教授 (40243365)
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Keywords | いじめ / 不登校 / 生徒指導 / 現代型問題行動 / ピアサポート |
Research Abstract |
本年度は3年次研究である。1年次には現代型問題行動のなかでも不登校問題をとりあげ、中高生の不登校克服プログラムの基本的枠組みを設定した。その一つは中高生への進路指導、職業教育の実施と教科の学習活動との結合の課題である。いわゆる学習のレリバンス(価値付与)形成を主眼にした教科指導への転換のテーマである。 本研究に関しては北海道北星学園余市高校への縦断的調査研究をおこなった。その主要な成果は和歌山大学教育学部教育実践教室研究報告書『北星学園余市高校調査報告書III』(2005年11月)にまとめた。 2年次は、いじめ問題に関して、いじめ対応策を国際的な視点で分析するとともに我が国の対応策の特徴と問題点を明らかにした。これらの成果はロンドン大学のP.Smithとの国際シンポジウムならびに日本側研究者との共同研究として出版物『いじめととりくんだ国々』(土屋他編・ミネルヴァ書房)にまとめた。 さらに現代型問題行動として浮かび上がってきた児童の攻撃性強化の問題、小学校の暴力事件の増加の背景と対応策を追求しその研究成果として、文部科学省の委託研究「生徒指導上の諸問題に関する調査研究」(代表:森田洋司)に参画し報告書にまとめた。この中で軽度発達障害児の増加と保護者、教員の指導上の瑕疵に関する調査研究をおこない、暴力事件などでは発達障害に対する無理解や指導上の問題を背景とする2次障害の問題が大きいことを明らかにした。また軽度発達障害児への対応だけでなく、障害理解のための指導マニアルの確立の重要性を指摘した。3年次においては、日本生活指導学会(大阪市立大学2006年8月)において課題研究発表をおこなった。 またいじめも問題の解決方法としてイギリスならびにオーストラリアのピアサポート、ピアメディエートの方法を参考にプログラムを作成し、大阪府岬中学校において2年生の選択授業を活用して実験研究をおこなった。 このプログラムの実施にたってNHK(2006・11・29)ならびに朝日新聞(2007・2・12)において紹介された。なお、本研究の総括を『現代型問題行動と生徒指導モデル-教員支援に関する臨床教育学的研究』(平成16〜18年度科学研究費補助金(C2)研究成果報告書にまとめた。
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