2005 Fiscal Year Annual Research Report
レッジョ・エミリア保育実践の受容と新しい学術体系としての幼年造形教育学の構築
Project/Area Number |
16530508
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 敏之 岡山大学, 教育学部, 助教授 (80226860)
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Keywords | 幼年造形教育学 / 保育内容学 / 保育実践 / レッジョ・エミリア市 / 公立幼児学校 / 家庭教育 / 自然体験 / 運動遊び |
Research Abstract |
本研究は、幼年造形教育学を中核に保育内容学を再検討し、それと平行して、創造性教育を中核にしたイタリアのレッジョ・エミリア市の保育実践の受容による理論の統合を論考するものである。本年度の研究実績の概要は、以下の通りである。 我々は、人間が精神の働きによって生み出した芸術・科学・道徳・宗教・法律などを文化と呼んでいる。これらの精神的所産の中から幼児期の教育に合ったものを徐々に指導・援助していくのが保育の使命と言えよう。保育に必須のものは、基本的生活習慣の確立、道徳的心情の育成、個性の伸長などである。したがって、生きる力を育てる保育とは、幼児の多様な行動を説明する包括的な構造をもった概念である。 幼児の個性の伸長に不可欠なのは、自己表現であろう。幼児の自己表現は、言語表現、音楽表現、造形表現、身体表現などが単独で、あるいは複合された形で表出、具現化される。そして大人の心象表現とは違い、子供の自然な表現は、遊びを通して行われる。つまり、言語表現遊び、音楽表現遊び、造形表現遊び、身体表現遊びである。したがって、子供の表現とは表現遊びのことであり、表現遊びとは子供特有の遊び方である。 平成16年度に引き続き、保育内容学の再検討を行った。特に、「環境」「健康」に関して、保育内容学の枠組みの中で統合する研究を推進した。本年度は、「絵本の読み聞かせ後の輪郭画用紙と白色画用紙における子どもの絵画表現の比較」「家庭における子どもの自然体験に対する保護者の認識と教育的意義」「低年齢児の四肢を使用する運動遊びと保育者の働きかけによる変化」などの研究主題のもとに、レフェリー付き全国的学会誌に3編の学術論文を投稿し、審査の結果、3編全ての掲載が認められ、現在印刷中である。
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