2005 Fiscal Year Annual Research Report
共同体の視点から見たカリキュラム理論の構築に関する研究
Project/Area Number |
16530511
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中野 和光 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10033573)
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Keywords | カリキュラム / 共同体 / ケア / レトリック / 学習共同体 |
Research Abstract |
本研究は、知識経済の時代における共同体としての職場、地域社会、家族の問題を含みこんだカリキュラム理論の構築を目的とする。研究の方法としては、共同体とカリキュラムの事実と理論に関する資料の収集と検討を行ないながら、知識経済下における共同体の視点から見たカリキュラム理論の構築を行なうという方法をとった。最初に、職場の変容に伴う学校カリキュラムの動向を職場のリテラシー問題を中心にして行なった。次に、カリキュラム構成を研究対象とするのは学問的には教育方法学であるが、日本の教育方法学の構想の起源は、ドイツの1796年のニーマイヤーAugust Hermann Niemeyerの『教育と教授の原理』における広義の「方法学」にあることを明らかにした。次に、その教育方法学が研究対象とするカリキュラムの構成とは、結局、19世紀ドイツのヘルムホルツの述べている意味における作成者によるタクトであることを明らかにした。知識経済下において求められている学力については、よく生きるためめコンテンツ・リテラシーであるとした。共同体にほ、国家、社会、伝統的共同体、中間集団としての共同体、学習共同体のような意図的な共同体の類型があることを明らかにした。教育方法学の学問的性格を歴史にさかのぼって論究し、レトリックの伝統の中で、子どもたちや社会とのかかわりの場所において成立する統合の学であることを明らかにした。18世紀、イタリアの修辞学の研究者ヴィーコの教育論を検討して、ヴィーコが文明世界は人間が作ったものであるから、文明世界も諸学問も、不完全なもの、修正すべきもの、批判すべきもの、改善すべきものとして若者に提示されるべきであると述べていることを指摘した。そして、レトリックこそ、共同体を建設する技術であることを明らかにした。
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