2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における教育自治と到達度評価-奥丹後の地域教育運動の研究-
Project/Area Number |
16530522
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 千枝子 作新学院大学, 経営学部, 教授 (10170333)
|
Keywords | 地域教育運動 / 到達度評価 / 教育自治 / 進路指導 / 職業指導 |
Research Abstract |
本年度は、戦後教育史や教育自治等の文献研究に力を入れた。そうしたなかで注目されたのが、奥丹後も含めて1970年代半ばに全国的に展開された「地域に根ざす教育」の種々の実践とその理論化の様相であった。1960年代の高度経済成長を境に日本の地域社会は大きく変貌し、親から子への世代継承のあり方とともに青年の就業構造も大きく変化し、その変化は学校と仕事のつなぎの問題、すなわち進路指導問題の新しい局面を導いたに違いない。「地域に根ざす教育」は、この時代の地域変貌がもたらした子どもの心身の発達をめぐる問題に対する一つの対応であったのだが、それでは進路指導にはどう対応したのかという点になると、実践的にも理論的にも記録自体が不十分である。中学校の進路指導については、高等学校全入運動に言及される程度の文献も少なくない。また、高校三原則の実現が「地域に根ざす教育」の課題であるとする動きもあったようだが、高校三原則を堅持していた京都府においても職業指導面でのその問題点が指摘されていた。 以上の文献研究により、奥丹後の地域教育運動を職業指導や進路問題の観点から実践を発掘・分析すること、そうした問題に到達度評価論はどう対応するのかを検討することが本研究の具体的な方向性となった。申請者はすでに奥丹後の地域教育運動に関する多くの資料を収集してきているが、こうした課題に応えるには、とくに高等学校に関する資料や中学校卒業後の進路状況を示す基礎的データが不足していた。京都府の戦後教育に関しても同様の観点から検討していくことが必要であった。そこで、本年度の調査は文献収集と基礎データの探索にとどまった。「到達度評価論における教育自治の可能性」と題する理論研究の学会発表を行なったが、実践上の裏づけが不十分なものとなった。次年度は聞き取り調査等も行なって実践面の発掘・分析を進めることにしたい。
|
Research Products
(2 results)