2005 Fiscal Year Annual Research Report
市町村合併下における基礎自治体住民の自治力量形成に関する実証的研究
Project/Area Number |
16530525
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
島田 修一 中央大学, 文学部, 教授 (50012563)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 景三 佐賀大学, 高等教育開発センター, 教授 (30193824)
内田 和浩 北海道教育大学, 生涯学習教育研究センター, 教授 (60279445)
|
Keywords | 実践的住民自治 / 自治体職員の力量形成 / 「まちづくり基本条例」 / 「下駄履きヘルパー」 / 地域福祉基盤形成 / 地域内循環経済 |
Research Abstract |
本年度は昨年に引き続き、自立をめざす地域づくりを進めている北海道のニセコ町と長野県栄村の内部に、いかなる自立を支える力=「実践的住民自治」の力量形成が見られるかの検証作業を行った。それは自治体自立の行財政計画の本格的構築とその基盤となる地域住民の自治力量形成の展望を、大規模な市町村合併による自治体の自治機能と住民の自己発達を支える機能の解体的危機が進む全国的状況の中でつかみ取る課題である。調査事例に則して見る限り、首長のリーダーシップと住民の地域づくりの熱心な取り組みの中から自立の力量形成の基本路線は確認できるが、強いられた財政危機への対応としての行財政計画づくりへの中核に、自治の主体たる住民自身の自立的な生活設計に結びつく学習活動のダイナミックな取り組みとそれを支える自治体職員の自治体自立に向けた自覚的で集団的な力量形成の課題が据えられるべきことが痛感させられる。前者では「まちづくり基本条例」を生かす多様な取り組みが、子育て・図書館充実と結びついた文化運動から地域振興と環境保護などの広い領域に生かされる展望があり、自治体職員の意識の高まりが見られ、後者では、地域内循環経済の展開を軸に農林業を基軸にした地場産業の再建と安定化を観光事業の振興も含めて展望する住民の意欲の高まりがあり、「下駄履きヘルパー」よる地域福祉基盤形成と集落自治の振興に果たす住民としての自治体職員の意識と力量に寄せられる期待が大きい。これらの多様な課題の認識と実践をいっそう自治体内部に定着させると共に近隣市町村との相互に支え合う連携の課題も明らかになった。
|