2006 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国における近年の進歩主義教育評価の研究
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16530530
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
甲斐 進一 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (40065040)
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Keywords | 進歩主義教育 / J.デューイ / W.H,キルパトリック / 実験学校 / 文化的リテラシー / 社会改造主義 / 間接的教授学 / 救済リベラル |
Research Abstract |
平成18年度は、ハーシュ、ファインバーグ、バイネキー、プロシオのデューイ、キルパトリック評価を中心に研究を進めた。 文化的リテラシーの重要性を論じた保守主義者ハーシュに関しては、1987年の研究と1996年の研究とではデューイ観に大きな相違があること、1996年の研究では、デューイではなくキルパトリックを進歩主義教育の代表者として批判していること等に焦点を当てて考察した。リヴィジョニストであるファインバーグ(1989年)に関しては、ハーシュの1987年の文化的リテラシー論、デューイ論に対するファインパーグの批判的論評について考察した。近年のキルパトリック研究の第一人者であるバイネキー(1989年)に関しては、キルパトリックが児童中心主義に傾斜して学問、教科教育を軽視したという通俗的評価の不当性を論じていることに注目して研究を進めた。プロシオ(1994年)に関しては、特定の階級の利害ではなく全体的社会の利害を間う社会的観点から民主主義社会の実現を志向して階級闘争理論(政治学)を容認しないデューイの民主主義論、民主的教育論に対して、強力な資本主義体制に対抗する階級闘争理論の重要性を強調するプロシオの見解の問題点に焦点を当てて考察した。 概して、上記の研究および16年度、17年度研究の結果から、本来的進歩主義教育が、知育、教科(学問)指導の重要性を認め、社会改造の視点を有しており、子どもに迎合するレッセ・フェール的な児童中心主義教育を推進したという通俗的評価とは異なるものであること、したがって、ボストモダンの現在においてもなお進歩主義教育が教育改革に示唆する点を有していること、を明らかにすることができた。
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Research Products
(4 results)