2005 Fiscal Year Annual Research Report
教育基本法に教育目的観 -田中耕太郎の人格概念に基づいて-
Project/Area Number |
16530534
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Research Institution | Nagasaki Junshin Catholic University |
Principal Investigator |
荒木 慎一郎 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (40168000)
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Keywords | 人格の形成 / 大学令 / 田中耕太郎 |
Research Abstract |
(1)田中耕太郎の人格概念について 田中耕太郎が「人格の完成」という概念をいつ、どのような契機で用い始めたかを田中の主要著作について検討した。その結果、1937年、東京帝国大学法学部長として新入学生に向けて講話を行ったときに、政治が「道徳的人格の完成を目的とする」と述べたのがその最初であることを明らかにした。同時に、この講話が大学令の第一条を根拠に展開されたものであること、同条の「人格ノ陶冶」と田中の「人格の完成」に関連があることを明らかにした。戦後教育理念の象徴とも言える「人格の完成」の概念と戦前の大学令第一条との結びつきが明らかになったのは、これが初めてである。 (2)田中耕太郎とジャック・マリタンの影響関係について 平成16年度の国内文献に基づく研究によって、田中耕太郎がジャック・マリタンをフランスに訪ねた1936年を、田中とマリタンの直接的な関係の開始と考えていた。しかし、平成17年度にフランス・コルプスハイムにあるジャック・マリタン資料館において資料調査を行い、そこで田中がマリタン宛てに書いた1931年3月19日づけの手紙を発見した。これによって田中とマリタンの直接的関係は5年遡ることになり、上記の法学部長講話との関係も視野に入れて、マリタンの田中に対する影響がどのようなものであったかを再吟味することが必要となった。
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Research Products
(1 results)