2005 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス労働党政権の教育政策とサッチャリズムの教育政策との連続性と非連続性の分析
Project/Area Number |
16530549
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大田 直子 首都大学東京, 都市教養学部人文・社会学系, 助教授 (40211792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 勲 日本大学, 文理学部, 教授 (70012573)
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Keywords | イギリス / サッチャリズム / ブレア新労働党 / 品質保証国家 / 教育改革 / 中央教育審議会 / 義務教育費国庫負担法 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続き、イギリスに関してはサッチャリズムの教育政策と、基本的には新労働党政権第一期の教育政策の分析を行った。日本に関しては、引き続き、品川区における教育改革の進展状況を参考にしながらも、日本全体において見られる各地方の教育改革の動きをフォローした。それと平行して義務教育費国庫負担制度の見直し問題については、中教審での論議、政府関係省庁間の論議を検討した。結局、国が三分の一、地方が三分の二という分担で決着を見たが、地方の自主性が高まったわけでもなく、教育論としてもなんら見るべきものがない展開となった。このような改革が今後どのような影響を持つことになるのか、さらに検討を加える必要がある。 今年度は、年度末になってイギリスへの調査が実施されたため、イギリスの教育改革の実態についての分析はこれからの作業となるが、今回、地方自治体制度に対する労働党政権第一期の改革政策がようやく現場レベルで確認できるようになり、この点に今後注目する必要があることがわかった。とくにこの点は、サッチャリズムと明確に異なる点なので、重視しなければならない。 この頃、ブレア改革を高く評価し、日本を批判する論調が増えてきている。中にはブレア改革の現実をサッチャリズムの改革であるとして、これを日本の教育基本法改正とつなげて論じるという誤った認識をもった研究書も登場してきた。来年度は最終年度なので、この間の研究をまとめ、サッチャリズムとブレア主義とに見られる「品質保障国家」的枠組みおよび教育改革の連続性と非連続性を明確にしていく予定である。
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