2004 Fiscal Year Annual Research Report
フランスのアニマシオン理念の学校・社会教育への定着過定とアソシアシオンの役割
Project/Area Number |
16530555
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
岩橋 恵子 志學館大学, 人間関係学部, 教授 (70248649)
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Keywords | フランス教育 / アニマシオン / アニマトゥール / アソシアシオン / 社会教育 / 学校課外活動 / 社会センター / アニマシオンセンター |
Research Abstract |
アニマシオン(animation)という用語は、1960年代フランスにおいて、従来の学校教育(enseignement)および民衆教育(education populaire)への批判から登場したもである。だが、その理念は、1930年代頃からの民衆教育および余暇活動において歴史的に形成されてきたリクレーション学(recreologie)と教育学(pedagogie)を準拠として形成されてきた。 アニマシオンは、学校教育においては特に暗記のための課業とは対照的な活動的方法(methodes actives)への取り組み(練習問題からテーマの活動へ)、権威主義の拒否(社会的不正義の再生産への告発)、理論と実践の相互作用の重視(未開の経験や自発的体験)などにおかれ、教員研修や授業においても進展した。だが、1980年代頃には、アニマシオンの持つその活動中心主義(activisme)が批判され、基礎知識の重視や青少年の人格形成における権威性の不可欠性が指摘され衰退するが、今日ではそれらの均衡の回復が課題となるに至っている。そうした試みが、近年パリ市等の学校にみられるアニマシオンの課外活動としての位置の明確化と、教員とアニマトゥールの連携活動である(翻訳したパリ市『パリの学校システム-幼稚園から高校まで-』では「子どもの生活と社会化の重要な側面を構成する」ことからアニマトゥールの養成と配置を位置づけている)。 社会教育領域においては、民衆のよりよい余暇の組織化ということではなく、グループとしての参加を土壌として社会そのものの民主的改革を推進するプロジェクトとして意味を有していた。そのことがもつイデオロギー性への回避から、「関与と活動の一つの技術」としての受け止められ方が80年代頃より生まれ、今日ではプロジェクト中心型(例えば社会センター)と技術・方法型(例えばアニマシオンセンター)との活動に分化している。 以上、アニマシオン活動は、歴史的的に理念の変容を経つつも、学校教育・学校外教育および地域の社会教育領域において広く定着してきていることが明らかになった。両者の関係の解明およびアニマシオン理念の多義性のフランス社会における意味の解明は今後の課題としたい。
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Research Products
(2 results)