2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境教育カリキュラムにおける風土の関係論的な学習のポートフォリオ評価研究
Project/Area Number |
16530582
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
岸本 実 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (80249705)
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Keywords | 砂漠化 / 環境教育 / 教育評価 |
Research Abstract |
中国内モンゴル自治区における砂漠化と生態移民に関する教材を開発した。この教材の特徴は次の点である。第一に、砂漠化の原因を歴史的に捉え、中国の社会政策と関連付けてとらえている点である。砂漠化の原因は一般的には過放牧、過耕作、乱伐の3つが並列的にあげられることが多い。しかし、本教材ではこれを次のような歴史と政策の流れの中でとらえている。すなわち、清末の社会的混乱の中での移民による人口増大とそれに伴う過耕作、乱伐、中華民国による開発、人民公社による大規模開発による過耕作、生産責任制の導入に伴う過放牧。第二に、現在進められている生態移民政策における貧困対策・経済成長、環境保護、遊牧文化の維持という目標間のジレンマをロールプレイとして教材化した点である。生態移民政策に関する現実を教材化した点自体にも独自性があるが、さらにそこにおけるジレンマの構造をロールプレイという参加型の学習によって追及できるようにした点に意義がある。第三の特徴は、ダルカン旗の実態調査と聞き取りに基づき、その地域の蒙古族学校の中学校地理教材としてものと、日本の高校でも活用できるものと複数のヴァージョンを開発したことにある。実践的な検証は今後の課題であるが、この教材はダルカンの中学生には身近な地域の問題を学習する地域教材として、日本の高校生には国際協力やより広い世界と自分の生活を結びつける教材としてそれぞれ意味があると共に、比較研究の共通教材という意義がある。 また、諸外国の環境教育カリキュラムの研究としてアイルランド共和国の「公民・社会・政治」という中学校の公民教育の科目を検討した。この科目は7つの基本概念の一つにスチュワードシップを位置づけている点で注目された。さらに、ポートフォリオの研究を中学校の教師との共同研究によって進めた。
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Research Products
(3 results)