Research Abstract |
本研究では,総合学習の質を高め,さらに社会・自然や生活と遊離してしまった算数・数学科の授業を改善し,その中で創造性を育成することを目指している。 本年度は,学習者の意識の変容を把握する2つの評価方法を開発した。また,感性評価の因子として新奇性,興味・関心,創造性.親近感,意欲などを取り上げた。そして,これらの3種の調査質問紙を作成し,授業毎時の形成的評価を試みた。 京都府亀岡市立畑野小学校6年生とタイ国アユタヤ県ジラサートウィッタヤ校小学部6年生,また,神戸大学附属住吉中学校3年生とタイ国ラチャパット総合大学アユタヤ校付属実験学校3年生とによるによるビデオ会議システムを利用した遠隔協同総合学習が実施された。言語は,前者は双方の母語と通訳者を使い,後者は双方とも英語を使い,児童・生徒が相手の児童・生徒に教えたり児童・生徒同士の研究発表をしたりするSTS(Students Teach Students)方式で行った。 前者では,算数の総合学習としてテーマ「算数クイズ・ゲーム」に取り組んだ。児童自らが学習内容を考案し,クイズ・ゲームを通して発展させた算数を実体験の交流を通して学んだり,発表方法を工夫したりするなどして,3種の意識調査を通じて、この学習が創造性の育成に寄与することが示唆された。 後者では,数学(統計学),理科,英語の総合学習としてテーマ「環境問題」に取り組んだ。この学習から両国とも環境汚染が重要な問題であることを再認識でき,モチベーションを高め,積極性に寄与することが示唆された。 一般的に,通訳を介したコミュニケーションや英語によるコミュニケーションは,児童・生徒にとって負担が大きいが,算数・数学や科学の場合は,図・絵・写真や数式を多用することで十分コミュニケーションがとれた。算数・数学を核にした国際遠隔協同総合学習の可能性は高く,一般の教科と比べて,有利であることが確認できた。
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